Tempalayが語る「間奏」という概念が生まれた背景、陶酔と響きの探求

事前にメンバーに送った「アルバム用参考プレイリスト」

─今回、サウンド的にはどんなテーマがありましたか?

小原:「ちゃんと伝わるものにしよう」ということを考えましたね。例えば、Gapとのコラボ曲だった「革命前夜」も、音質次第ではもっと届いたんじゃないか? という思いがあるし。

藤本:そう、今までのTempalayは、好きな60〜70年代のサウンドをとことん追求するバンドだったけど、もう少し今のサウンドに寄せてもいいんじゃないか? という話し合いはなされましたね。結果、そんなに変わってはいないんだけど(笑)。

小原:例えばベックの『Colors』は、アナログレコーディングなのにハイファイに聴こえるというか。そういうのを目指したつもりです。

綾斗さんが、事前にメンバーに送った「アルバム用参考プレイリスト」には、久石譲の『菊次郎の夏』や『ソナチネ』と一緒にルイス・フューレイが入っていて、「それらをミックスした不気味な曲調を目指した」とおっしゃっていましたよね。そのプレイリストには、他にどんな曲が入っていたんでしょう。

小原:今、ここにあるんですけど……。アート・リンゼイの新しいアルバムとか、カン、ゴングなんかが入ってますね。あと、民族音楽や前衛音楽、フィッシュマンズの『宇宙 日本 世田谷』なんかも。あとはブラジル音楽とか(笑)。

─先日のインタビューで夏樹さんが「ドラムは今までよりも空間を生かしたライブなサウンドにした」とおっしゃっていましたが、全体的にリズム隊が強化されたのは、ブラジル音楽などの影響もあるかもしれないですね。「どうしよう」と「SONIC WAVE」以外の曲は、ライブのサポートもしているKenshiro(Aun Beatz)さんがベースを弾いていますが、曲作りに影響はありましたか?

小原:ありましたね。彼は、ブラックミュージックに対するアプローチの仕方を僕らよりも豊富に持っているし。大のレゲエ好きで、例えば今回収録された「美しい」という曲を聞いた時は「この曲ってレゲエだよね」と言っていて。そこから間奏以降のレゲエ的なアプローチが生まれたんです。唯一あの曲が、セッション的な作りになってる。Kenshiroの貢献も、かなり大きいですね。彼がいなかったら、ああいう曲になってなかったと思う。

それにTempalayって、ドラムが軸になっている曲とかそんなになくて。「のめりこめ、震えろ。」も、リズムの主軸はギターなんですよ。そういう変則的なアンサンブルを試せるようになったのも、ベースのやれる範囲が広がったからだと思います。



藤本:確かにそうだね。以前だったら、スネアは2拍4拍にしてないとアンサンブルが不安定になりがちだったけど、今は俺が主軸じゃなくなってもアンサンブルが成立するようになってきて。例えば『のめりこめ、震えろ』でもスネアの位置を変えたりしているんですけど、そういうことがやりやすくなって、引き出しも増えた気がします。

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