Tempalayが語る「間奏」という概念が生まれた背景、陶酔と響きの探求

宇宙に対する憧れ

─NASAといえば、前作『from JAPAN 2』に収録された「革命前夜」では、アポロ11号の打ち上げカウントダウンをサンプリングしていましたよね。「宇宙」に対する憧憬みたいなものは、小原さんの曲作りにインスピレーションを与えているのでしょうか。

小原:どうなんでしょう(笑)。たぶん、SFものが好きだったんですよね。妄想はしょっちゅうしているんですけど、それがたまたま宇宙に向かったというか。宇宙って、すごく遠くて掴みどころがないじゃないですか。そういうところに儚さを感じるのかもしれないですね。



─「22世紀以降の世界」って想像できます? 夏樹さんは最近お子さんが生まれたことで、以前よりも未来の世の中がどうなっているか、気になるのではないですか?

藤本:本当にそうですね。もっと知らなくてはならないことがたくさんあるなって。前よりは考えるようになりました。

AAAMYYY:22世紀というと……2101年以降か。割と近いですね(笑)。テクノロジーは今よりも進化して便利になっているかもしれないけど、環境的には今より住みにくくなっている気がします。

─「人造インゲン」で歌っているのは、AIが進化し過ぎた未来のディストピアなのかと思いました。

小原:あれは、ソフィアというサウジアラビアで初めて市民権を得た女性型ロボットを題材にしています。サウジアラビアって、今も女性の人権が蔑ろにされているというか、男尊女卑が酷いんですよ。なのに、その女性型ロボットに市民権を与えて、首都リヤドで開催された今年のFuture Investment Initiativeでスピーチをさせている。そのスピーチ内容を歌詞に引用して作ったのが、「人造インゲン」なんです。




Photo by Nariko Nakamura

─歌詞にも出てくる「Do you want to destroy human?」「Okay, I will destroy human」というやり取りが、実際にあったみたいですね。

小原:ただ、別にそういう現実に対して何か警鐘を鳴らしたかったわけでもなくて。“人工知能解放 将来が心配じゃなくなるよ”とポジティヴに歌うことにより、かえって恐怖を感じるような内容にしたかったんですよね。ソフィアが「一家に一台」という時代が来ることを、当然のように歌う方が怖いじゃないですか?

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