トランスジェンダー女性の死が招いた売春「非犯罪化」議論

レイリーン・ポランコの死の真相解明を訴える、トランスジェンダー支援活動家のデモ行進。(Photo by STEPHANIE KEITH/The New York Times)



ポランコさんが強制売春の被害者だったことを示す証拠がないため、必須カウンセリングが彼女のためになったかどうかは定かではない、とニナ・ルオ氏は言う。彼女もDecrimNYの運営メンバーで、自らもVOCAL-NYという活動を展開している。彼女いわく、その手の必須カウンセリングは「初めから強制的だ」と言う。「もし受けなかったら、刑務所に入れられるかもしれない。受けなかったら、家を追い出されるかもしれないんです」と彼女は言う。「実際、選択肢などありません。レイリーンのように、取り返しのつかない結果を生むこともあるのです」

強制売春の被害者ではない人々に対し、人身売買調停裁判所(HTIC)の措置は有効なのか、とチャルフェン広報部長に尋ねてみた。「ニューヨーク州全域に11の調停裁判所があり、近々ユーチカにも置かれる予定です。ニューヨーク市の行政区市には必ずHTICが置かれています。我々は非常に効率的だと考えています」

トランスジェンダーの囚人が収監後、監視棟や独房に入れられるのは珍しくない。しばしば他の囚人から暴力を受け、身体的あるいは性的暴行を受ける危険が高いため、表向きは彼女たちの身を守るというが表向きの理由だ。元セックスワーカーの活動家TSキャンディ氏もこう語った。「独房に入れるのは、私たちの安全のためだと彼らは言います。でもむしろ、命とりです」

当初マスコミの報道では、ポランコさんは独房に入れられたと報じられた。矯正局はこれに反論し、彼女が収容されていたのは監視棟で、そこでは囚人は、週末を除いて毎日7時間まで監房の外で過ごすことが認められていると明言した。監視棟に収容されるのは、他の囚人や警察官への暴行などの規則違反が原因で、性別とは何の関係もないと矯正局は言う。「本当に痛ましい事件です。遺族の皆様には心よりお悔やみを申し上げます」と、矯正局のシンシア・ブラン局長はローリングストーン誌に語った。「我々は受刑者の安全および健康を最優先として、全力で捜査を行っております」

だが、10日のポランコさんのデモ集会で話を聞いたライカーズ刑務所の元囚人たちは、トランスジェンダーの受刑者はしばしば監視棟に収容されると語った。また、監視棟は独房と同じぐらい過酷で、精神的に疲弊するとも語った。ガルシア氏は暴行と強盗で19カ月ライカーズに収監されたが、他の囚人から襲撃を受けた後3週間後監視棟に収容された。「文字通り自殺しようとしました。たくさん泣きました」と彼女は言う。「監房に独りきりでいるのは、本当につらかった」

LGBTQ活動家やセックスワーカーたちの願いは、ポランコさんの悲劇が法の番人らに警鐘を鳴らし、刑務所でのトランスジェンダーの環境改善だけでなく、売春全般を犯罪とする法律を永久に改正させることだ。いみじくもポランコさんの事件で明らかになったように、とばっちりを受けるのは、刑事司法制度でもっとも被害を受ける人々なのだ。ジェンティーリ氏は売春の非犯罪化法案がニューヨーク州議会で可決されるだろうと「楽観視」している。

「政治家の方々が、今回若い女性を救えなかったことを反省してくれるといいのですが。自分たちはこの娘を救えなかったのだと」と彼女は言う。「反省して、売春に携わる人々の現実にしかるべき措置をとっていただかないと、また別の被害者が出てくるでしょう」


Translated by Akiko Kato

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE