トランスジェンダー女性の死が招いた売春「非犯罪化」議論

レイリーン・ポランコの死の真相解明を訴える、トランスジェンダー支援活動家のデモ行進。(Photo by STEPHANIE KEITH/The New York Times)



ジェンティーリ氏が言うには、多くの有色人種のトランスジェンダーにとって、売春は自分たちに残された数少ない収入源の一つ。生きるために、いわゆるサバイバル売春と呼ばれるものに手を染めるのだ。「トランスジェンダーにとって、勉強を続けるとか、就職活動をするというのはものすごく大変なんです」と本人。「私たちにとっては、売春で稼ぐことを選ぶのが楽な場合もあるんです。心底嫌っている人もいれば、張り切っている人もいますけどね」。売春の裏に隠された複雑な動機、身の安全と生計を確保することの難しさ、さらに売春が犯罪であると言う事実が相まって、有色人種のトランスジェンダーの女性はとくに警察から差別と嫌がらせの対象にされやすい。

National Center for Transgender EqualityがNational Gay and Lesbian Task Forceと共同で行った別の調査によると、売春経験のあるトランスジェンダーの16%が警察から暴力を受けたと回答している。ラテン系のトランスジェンダーとなるとこの数は増え(34%)、黒人の場合はさらに増える(53%)。人身売買の被害者で、現在はMake the Road New Yorkという団体を主宰する元セックスワーカーのビアニー・ガルシア氏は、彼女が暮らすクイーンズのジャクソンハイツでは、警察によるトランスジェンダーの嫌がらせの話題を耳にしない日はないと言う。警察は彼女たちが夜中に独りで外を出歩いているというだけで、セックスワーカーだと決めてかかるそうだ。

「集会で何度か、夜中にクラブや薬局に行くのが怖い、トランスとして歩いているだけで逮捕されるかもしれないから、と言う人がいました」と彼女は言う。「一度など、結婚証明書を持ち歩いていると言う人もいました。自分の隣にいるのはパートナーですよと(警察に)証明するためにね……それもこれも、警察や職権乱用のせいです」

刑事司法制度で有色人種のトランスジェンダーの女性たちが直面するあまたの障壁に加え、裁判所命令によるカウンセリングも――ぱっと見はセックスワーカーが刑務所に行かずにすむよう救いの手を差し伸べているようにみえるが――百害あって一利なしだと、活動家は指摘する。

「5回のカウンセリングを受けたとして、それでもホームレスのままなら、何の役にも立ちません」とジェンティーリ氏。「5回のカウンセリングを受けても無職のままで、仕事が見つかる当てもないなら――トランスジェンダーだというだけで差別されるんですから――そんなの無駄です」

Translated by Akiko Kato

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