トランスジェンダー女性の死が招いた売春「非犯罪化」議論

レイリーン・ポランコの死の真相解明を訴える、トランスジェンダー支援活動家のデモ行進。(Photo by STEPHANIE KEITH/The New York Times)



「我々は、今すぐ売春の非犯罪化を実現するべきです――拡大した司法の網で人々をがんじがらめにするような法改正ではなく、非犯罪化です――生活の糧を売春に頼っている有色人種のTGNC(トランスジェンダーおよび性同一性障害者)コミュニティを守るために」と言うのは、DecrimNY運営委員会のメンバー、ジェシカ・ペニャランダ氏。非営利団体Urban Justice Centerのセックスワーカー部で啓蒙促進を担当している。「次の犠牲者を出すわけにはいきません。もうこれ以上」

ポランコさんの死に憤りを感じているLGBTQコミュニティのセックスワーカーたちは、そもそも彼女がライカーズ行きとなった警察からの不当な扱いに加え、刑務所での過酷な環境は、有色人種のトランスジェンダーのセックスワーカーには日常茶飯事だという。警官から差別や嫌がらせの標的にされることもしょっちゅうで、刑務所でも驚くような仕打ちを受けているという。

「いやというほど分かりますよ」と言うのは、元セックスワーカーのセシリア・ジェンティーリ氏。Transgender Equity Consultingの創設者で、DecrimNYの運営委員会のメンバーでもある。ポランコさん同様、ジェンティーリ氏も10年ほど前に薬物所持で逮捕され、裁判所に命じられたカウンセリング治療を受けなかった。その後再び売春と麻薬で逮捕され、過去の罪状で刑務所に入れられた。

「レイリーンの件で非犯罪化が注目されるようになったのはとても残念です。こんな形で取り上げられるなんて」と彼女。「でも、犯罪化が美しいコミュニティを破滅させていることが、しっかりお分かりいただけると思います」


ライカーズ刑務所収監中に亡くなったレイリーン・ポランコさん(©︎Rolling Stone)

ジェンティーリ氏のような活動家の多くは、売春の犯罪化がとりわけ有色人種のトランスジェンダーの女性を標的とし、彼女たちを社会から追放していると考えている。非襟団体National Center for Transgender Equalityが2015年に発表した調査によると、アメリカ国内の黒人のトランスジェンダーで、売春したことがあると回答した人は21%近くだったのに対し、トランスジェンダー全体では12%だった。その理由のひとつは、ポランコさんのような有色人種のトランスジェンダーの女性はまず雇用差別をはるかに受けやすい立場だからだ。先の調査でも、黒人のトランスジェンダーで現在無職だと回答した人の割合は、全トランスジェンダーの場合よりも2倍、アメリカ国民全体と比べると4倍も多かった。

Translated by Akiko Kato

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