レッド・ツェッペリンの成功から見る、音楽レーベルのストリーミング活用法

レコード会社は、レッド・ツェッペリンをはじめとする往年のアーティストのヒット曲から再び利益を得ようとしているIan Dickson/REX/Shutterstock

ストリーミング時代に対応するためレコード会社は、レッド・ツェッペリンをはじめとする往年のアーティストのヒット曲から再び利益を得ようとしている。そのやり方はより独創的になっている。

「今はカタログ市場にとても注目すべき時期だ。…時には、我々がどうやって火のないところに煙を立たせるかが問題となる」
—ティム・フレイザー=ハーディング/ワーナー・ミュージック・グループ(President, Global Catalog, Recorded Music)


50周年を迎えたレッド・ツェッペリンのファンが、お気に入りの古いTシャツやホコリをかぶった懐かしいツアー写真をあさっている頃、ワーナー・ミュージック・グループでは、ティム・フレイザー=ハーディングのチームがある戦略を練っていた。

ワーナー・ミュージック・グループでレコードのグローバルカタログ管理を取り仕切るフレイザー=ハーディングは、同社の持つ莫大な往年の楽曲の宝庫に関するマーケティング戦略を任されている。コレクションの中には、ここ数十年間のビッグヒットのほか、売れなかった曲や未発表曲、全く無名の作品まで含まれる。レッド・ツェッペリンの50周年にあたり、同チームは「ロゴ・ネーム・ジェネレーター」の提供を開始した。その名の通り、利用者が入力した名前をバンドオリジナルのフォントでロゴイメージとして自動作成する。さらに「プレイリスト・ジェネレーター」も同時公開。自分のお気に入りの楽曲を選んで並べたり、ジャック・ホワイトやロイヤル・ブラッドらアーティストによる選曲もチェックできる。これらシンプルな2つのデジタルノベルティは、バンドの50周年記念行事の一部にすぎない。30曲入りベストアルバムには、ファンが好みのカバーアートとプレイリストを作成し、ソーシャルメディア上で共有できる機能が付いている。

50周年専用サイトには、立ち上げから10日間で20万件以上のユニークアクセスがあり、23万種類のロゴと2万のプレイリストが作成された。「最大の呼び物」となったのはジャック・ホワイトの選曲によるプレイリスト『Led Zeppelin x Jack White』で、毎日数千アクセスがあった。数十万ストリームに換算でき、バンドが指一本動かすことなく、レッド・ツェッペリンとワーナー・ミュージック・グループの安定した収入源となっている。

「50周年を迎えたアーティストをもっと知りたいという強い欲求がある」とフレイザー=ハーディングはローリングストーン誌に語った。「それに対し、潜在的なコンシューマーの視野を広げ、啓蒙するための適切なツールを提供するのが重要だ。コンシューマーを第一に考え、彼らがどう反応するかを見極める必要がある。時には、我々がどうやって火のないところに煙を立たせるかが問題となる」

Translated by Smokva Tokyo

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