モー娘。ライブの舞台裏 PAが引き立てるメンバーの「歌」

モーニング娘。'19(©UP-FRONT PROMOTION)

20周年イヤーを駆け抜けてきたモーニング娘。’19が、令和初となるシングル「人生Blues / 青春Night」をリリースした。Rolling Stone Japan vol.06に掲載された特集「スタッフとメンバーが初めて明かすモーニング娘。’19ライブの舞台裏」の中から、今回はPA担当・渡邉栄一 (MSI JAPAN)氏の記事をお届けする。

PAの仕事で一番重要なのは、ヴォーカルや楽器の音のバランスを取り、最良の音量で観客の耳に届けること。極端な話、PAがいなければステージ上の音は一切拡張されない。特にモーニング娘。’19のPAを務める渡邉氏の仕事は、11人のヴォーカルの音量バランスをリアルタイムで調整するなど、12人目のメンバーとも言うべきハードさ。そんなモーニング娘。’19サウンドの門番にじっくり話を聞いた。

歌いやすい環境を整える

ー渡邉さんはモーニング娘。のお仕事にどれぐらい関わっているんでしょうか?

渡邉 春と秋にツアーがあって、夏と冬はハロー!プロジェクトのコンサートがあって。それ以外にもツアーのリハがあるので、一年中一緒に動いている感じです。

ーリハから参加しているんですね。

渡邉 そうですね。僕はお客さんに向けてのスピーカーから出る音の調整をしているんですけど、メンバーに向けての、いわゆるモニターと言われるスピーカーの調整をする人と、大阪さんが担当しているマニピュレーターがリハからずっと入っていて、そこで調整したものをコンサートに持っていく感じです。

ーとなると、現場での動きはどうなるんですか?

渡邉 現場では会場との調整という感じです。

ー別の方が担当されているとのことですが、モニターはどういうところを意識してメンバーに音を返しているんでしょうか。

渡邉 基本的には歌いやすい環境を整えることですね。会場の反響や表で鳴っている音に負けないようにしたり、どういうリズムでどう歌っているのかメンバーがちゃんとわかるようにするのがモニターの仕事です。

ー素朴な疑問なんですが、大人数のアイドルグループが全員一緒に声を出すとなると、音が割れたりノイズみたいになったりしないんですか?

渡邉 そこが一番難しいんですよ。特にモーニング娘。’19の歌割って、ソロ、ユニゾン、全員ユニゾンが繰り返し出てくるので、そういった様々なパターンの歌をいかに一定の音量で出すかという作業は大変ですね。全員が歌いだした瞬間に声が大きくなったら曲として成立しないので。

ーそれってかなり大変なことじゃないですか?

渡邉 そうですね。声の音量はリアルタイムで調整しているので。

ーそうなんですか!?

渡邉 本番中に僕の手元を見ていただければわかると思うんですけど、止まっているときがないんですよ。ずーっとヴォーカルのフェーダーを触ってる。その結果として一定の音量で聴かせられるようにしているんです。あと、メンバーは過密スケジュールで動いているので、コンサートの日に100%の体調じゃないときも山ほどあるんですよ。そういうときはいつもよりも少しだけ音量を上げたりしてますね。

ーとなると、誰がどのパートを歌うのかしっかり把握していないといけないんですよね?

渡邉 それは歌詞カードを見ていますね。歌詞カードにメンバーの名前を書いたり、メンバーカラーを卓に貼ってます。それを追っかけている感じです。

ーもはや演奏に近いですね。

渡邉 そうかもしれないですね。

Rolling Stone Japan

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