『X-MEN: ダーク・フェニックス』映画評:『X-MEN』シリーズはこれで最後にすべき

ソフィー・ターナーは——『ゲーム・オブ・スローンズ』で不滅のキャラクター、サンサ・スタークを演じた——ジーン・グレイ役で大きな可能性を見せた(Courtesy Twentieth Century Fox)


その代わり、キンバーグ監督はジーンが戦いに巻き込まれるシーンばかりを見せつけてくる。彼女は、自身の精神を制御することができないのだ。ジーンは子供の頃、母親が車の中でグレン・キャンベルを聴いていたことが気に入らず、両親を巻き込んだ重大な交通事故を引き起こした。少し行きすぎた感もある設定だが、まあいいだろう。ジーンに近づくことは非常な危険なことなのだが、何度も似たようなシーンを続けた後に、キンバーグ監督はそれをめちゃくちゃにした。罪悪感に苛まれ、ダークサイドに墜ちたジーンがダーク・フェニックスになると、漠然とした不安と衝撃的に最悪な FXを駆使したデジタル映像を、ここぞとばかりに促してくるのだ。

更なる面白みとして、キンバーグ監督はもう1人の危険な女性であり宇宙人の、ジェシカ・チャステイン演じるユックを登場させている。ユックは、観客が感じていることをそのまま形にしたような、謎の風貌をしている女性だ。おそらく彼女はジーンの能力を、自らに取り入れたいと考えている。権力の女性化か? そうであれば掘り下げる価値があるかもしれない。しかし映画は、宙に浮く2人が、レーザービームを放つ目で見つめ合うだけの、非常にキレの悪い方向へと進んで行くのだ。

さらに悪いことに、ダーク・フェニックスはX-MENに興味を持つヒントすら構築できていない。彼らのような部外者に対して、リップサービスがあっただけだ。かろうじて作られた世界が脅威に晒されようとも、キャラクターはそこまで怒っているようにも見えなかった。ある主要キャラが死ぬとき(それが誰かは言わないが)、キャラクターは世界の滅亡と戦う代わりに、まるで銀行で奴隷のように働くかのように仕事に戻るのだ。『X-MEN: ダーク・フェニックス』は、『X-MEN』シリーズにおけるエンドゲームとして位置づけられていた。しかし本当にそうなのか?ディズニーとマーベルは買収の準備を整えた。映画自体に制約はかからず、翌年4月には20世紀フォックス製作の『ニュー・ミュータンツ』(原題)がリリースされるとの情報が出ている。遅延や再撮影に悩まされ、制作に多くの問題があった同作の主演は、『ゲーム・オブ・スローンズ』でターナーの妹役を演じたメイジー・ウィリアムズ。彼女は狼に変身してしまう能力を持つ、スコットランド人のミュータントを演じている。ほんの少しのスティーヴン・キング的なホラー要素は、物語に厚みを与えるだろう。しかし『X-MEN』シリーズは、『X-MEN: ダーク・フェニックス』で終わりにすべきだし、もう救いようがない。動き続けることによってスリルを提供したり、『X-MEN』シリーズの名をつけることが映画館へ行く動機には必ずしも繋がらないのだ。誰か、止めてくれる人はいないのだろうか。




『X-MEN:ダーク・フェニックス』
★ ★ ★ ★ 
監督:サイモン・キンバーグ
出演:ソフィー・ターナー、ジェームズ・マカボイ、マイケル・ファスベンダーほか
6月21日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開中
http://www.foxmovies-jp.com/darkphoenix/


Translated by Leyna Shibuya

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