トランプ政権、第二次世界大戦時の強制収容所施設に児童移民を収容

2019年5月29日、メキシコから入国を試みて捕らえられた102人の不法移民とともに、アメリカ国境警備局マッカレン支部行きのバスを待つ家族たち。(Photo by Jabin Botsford/The Washington Post/Getty Images)

アメリカ保健福祉局は現地時間11日、保護者の同伴無しで単独で渡ってきた子供の移民を、オクラホマ州にある軍用基地フォート・シルに収容する計画を公表した。150年前に建てられたこの基地は、第2次世界大戦中に日系アメリカ人の強制収容所として使われていた。

これはメキシコとの国境沿いに押し寄せる移民の波と、政府の収容施設不足への対応策として決定された。来月からおよそ1400人の移民の子供たちがフォート・シルに移送される。先週も、1600人の児童移民用にテキサス州カリーゾスプリングスの複合住宅を臨時施設とすることが発表された。

親の同伴なしで国境にやってきた児童移民は、5月だけで1万1000人。国土安全保障省の発表によれば、今年に入ってから4月末までに前年比57%増となる4万900人の子供を拘留していたという。6月上旬の時点で、政府の収容施設にいる児童移民は1万3000人強。親の同伴のない子供たちは、アメリカ在住の親戚など、引き取り先が見つかるまで連邦政府の管理下に置かれている。

強制収容所への児童移民の移送はトランプ政権だけではなく、オバマ政権時代にも児童移民の収容にフォート・シルが使われ、2014年に7万7000の児童が4カ月間収容された。だがオバマ大統領の退任以降、事態は急激に悪化しており、子供たちがとばっちりを受けている。「どうにもならない緊急事態です。これ以上言いようがありません。システムは崩壊しています」と、税関国境警備局のジョン・サンダース局長代行は報道陣に語った。

トランプ政権が児童移民に手を焼いているのは、収容問題だけではない。政府は先週「教育サービス、法務サービス、娯楽」といった児童移民向けの活動を「縮小、または停止」すると発表。前例のない数の児童移民が収容されているため、費用がかかりすぎるというのだ。保健福祉局はケアとシェルターの拡充費用として30億ドル相当を議会に要求している。その一方で保健福祉局のマーク・ウェエバー広報担当者は、こうしたサービスの提供は「人命と安全保護に直接かかわるものではない」と説明した。

Translated by Akiko Kato

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