新作監督インタビューで『X-MEN』シリーズについてわかった6つのこと

『X-MEN:ダーク・フェニックス』のソフィー・ターナーとジェシカ・チャステイン(Twentieth Century Fox)

『X-MEN』シリーズの脚本と製作を長年担当し、最新作『X-MEN:ダーク・フェニックス』では監督にも挑んだサイモン・キンバーグが今作と終止符が打たれるシリーズについて知っていることを語ってくれた。

ストーリーは大まかに言ってシンプルだ。女子が男子に出会い、女子の持つミュータントとしてのパワーが銀河を飲み込むレベルまで膨れ上がり、女子は凶悪になって、体から光を発するようになってしまうストーリーだ。だが、『X-MEN:ダーク・フェニックス』はX-MENメンバーであるジーン・グレイの堕落していく姿を中心にして描いているが、そのサーガを語るのはどうしてか常に緊張をはらんだものであった。原作のコミックスの時でさえも、ライターのクリス・クレアモントとアーティストのジョン・バーンは土壇場で結末を作り直すことになった。当時のマーベルの編集長であったジム・シューターが、グレイはある惑星で大量虐殺を犯した罪から免れられないと主張したからだ。ちなみに、公平に見ても、その編集長の意見は真っ当なものだ。2006年の『X-MEN:ファイナル・ディシジョン』はストーリーラインを生半可な脚色でどうにかひとつのプロットに絞り込んだが、誰にも喜ばれず、人気のあるキャラクターとともにシリーズの息の根を止めてしまうほどの出来だった。

ここで話を、現在の映画版『X-MEN』サーガ最終作である『X-MEN:ダーク・フェニックス』に戻そう。本作は評論家に広がっている疑念に直面しているが、ソフィー・ターナーのジーン・グレイを映画の中心に添えながら、これまでの作品に比べて強固な姿勢でストーリーを語ろうとしている。本シリーズに長年関わってきた脚本家・監督のサイモン・キンバーグ(『X-MEN:ファイナル・ディシジョン』は共同で脚本執筆)に、本作品の制作過程や『X-MEN』の過去と未来に関して知っていることを語ってもらった。

1. 今作の製作中にディズニーが20世紀フォックスを買収し、マーベル・スタジオにX-MENのキャラクターを取り戻す前から、『X-MEN:ダーク・フェニックス』が、2011年の『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』から前日譚3部作としてリブートした本シリーズに終止符を打つことになっていた。
「一流のキャストを再集結できるのはこれが最後のチャンスだと思ったんだ」とキンバーグは語る。「今回の映画は自然な流れでクライマックスを迎えられたように感じた……。またいつか、新しい『X-MEN』ができるのは当然のことだと思っているよ」

2. ソフィー・ターナーは大作のシリーズものでタイトルにもなっている役を演じることに不安があると言及したが、当時はそのことを自分の胸に隠しておいた。
撮影前にキンバーグ監督と一緒にランチに出かけた際に、ターナーは監督から、この役がマイケル・ファスベンダーを始めとしてジェームズ・マカヴォイ、ジェニファー・ローレンス、ジェシカ・チャステインなどに反して行動するシーンで抱える様々な感情をひとつひとつ細かく説明してもらった。「その後に、僕は『やる気はあるかい?』と聞いたんだ」とキンバーグは語る。「彼女は僕の目を見て、『100%あります』」と言ったよ」

3. キンバーグ監督は、『X-MEN』シリーズ全体が「スーパーヒーロー映画のニューウェーブの幕開け」として記憶されるだろうと指摘する。
「第1作目はドラマものの映画と同じぐらいにかなりシリアスな形で物語を語った」と監督は話す。「アウシュビッツで(幼いマグニートーと共に)今回のシリーズを始めるのはとても大胆であり、かつ根拠もある画期的なことだった。(監督のブライアン・シンガーが)初期の『X-MEN』のキャスティングや制作に取り組む目標としてシリアスなものにしたことで、それに続く作品に波紋が起きたと思う。その結果、このジャンルが現在の映画で最も人気のある中心的なジャンルになったんだ。MCUや『ダーク・ナイト』3部作を始めとする素晴らしいこのジャンルの映画へと導いた発端として『X-MEN』は記憶されるんじゃないかな。今後は、この原作コミックスが辿ってきたように忘れられることはないと思うよ。社会ののけ者だったり、部外者だったり、自分たちとは異なる人を扱っているシリーズであって、このジャンルの中でも類をみないものだと思う。漫画の中でも特異なことだし、映画の中でもそれが当てはまる。結果として、このシリーズが常に扱ってきたのは、何かが違うことから異端者として見られる人たちなんだ。つまり、他人と違うところが自分を特別で強いものにするということを伝えてきたんだ」

Translated by Kouichi Kawano

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