同性愛差別の動画投稿者に対するYouTubeの対応、是か否か?

だが、すべてのLGBTQユーチューバーが動画共有サイトに非があると考えているわけではない。以前YouTubeに削除されたチャンネル「TheGayStoner」を運営していたアレンド・リチャード氏は、ローリングストーン誌に宛てたメールの中でマザ氏に同情しながらも、「LGBTQコミュニティのメンバーとして、またゲイを公表している1人の人間として」自分もしばしばソーシャルメディアで同性愛差別的なコメントの標的にされるが、YouTubeがクラウダー氏に手を下さなかったのは正しい行為だと思うと述べた。

「僕はいかなる状況でも、いかなる類のヘイトスピーチやハラスメントも支持しません。ですが、オープンなプラットフォームで検閲はやっかいな問題です。YouTubeにクラウダー氏のコンテンツを削除する責任があるとは思いません。スティーヴン・クラウダー氏がばかげたゲイのジョークを作って、彼のファンに俗悪な笑いを提供するのは悪いことか?と聞かれれば、イエスです。カルロス氏には、こうした子供じみたコメントの削除をクラウダー氏に要請する権利があるか? これもイエス。YouTubeにはユーザーの要請に応じてそうしたコンテンツを検疫する権利があるか? 答えはノーです」

「YouTubeのようなメインストリームのプラットフォームが、ユーザー目にするものをコントロールするようになれば、それは言論の自由を脅かす大問題になります」と彼は付け加えた。

昨夜のマザ氏のツイート以来、YouTubeは自らのスタンスを撤回。ローリングストーン誌宛てに送られた声明には、YouTubeコミュニティ全体への被害を防ぐという2018年のブログ投稿のリンクが添えてあり、「一連の言語道断な行為がYouTubeコミュニティ全体に害を及ぼし、我が社のYouTubeパートナープログラムの規定に違反していた」ため、クラウダー氏のアカウントを収益化停止処分にすると書かれていた。だがマザ氏は、自分が受けたハラスメントに対する罰則が、クラウダー氏の収益化停止では不十分だと考えているようで、ロス氏の収益化停止を伝える記事のリンク付きでこのようにツイートした。「念のために言っておくと、クラウダー氏の収益化停止処分が意味することは、YouTubeはLGBTハラスメントにもLGBT支持コンテンツにも、まったく同じ対応をしたということだ。まったくばかげている」

結局のところ、マザ氏は自分の経験がLGBTQコンテンツのクリエイターたちへの警鐘になればと考えている。彼らの多くは、自分たちが受けた不当な扱いを黙って見過ごすプラットフォームに、経済的に頼らざるを得ないというおかしな立場に立たされている。多くのLGBTQインフルエンサーがYouTubeに対するスタンスを明らかにしたがらないのも、こうした理由なのかもしれない。たしかに、ローリングストーン誌は今回の記事のために20人近いLGBTQユーチューバーに取材を試みたが、コメント取材に応じてくれたのは数えるほどだった。

マザ氏はボイコット運動を起こすつもりはなく、YouTubeで生計を立てている大勢のコンテンツクリエイターもそうはしないだろうと語った。だが同時に、いつかYouTubeが既存のハラスメントやヘイトスピーチ規制を徹底し、こうしたコンテンツをはびこらせている逃げ道に頼らなくてもよくなる日が来てほしいとも述べた。「ゲイ・プライド月間でアバターをレインボーフラッグに変えるなら、それなりの企業になっていただきたい。そんなに難しいことではないはずです」

Translated by Akiko Kato

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