フジロック×サマソニ運営対談 フェスと洋楽文化を支える両者のリアルな本音

2019年のサマソニ展望、お互いのフェス開催に向けて

―今年のサマソニについてはいかがでしょう?

安藤:なんといっても大きいのは、20周年で三日間開催になったこと。B’zという日本のアーティストがヘッドライナー(金曜の初日)を務めるのもサマソニ史上初で、これがどんなふうに捉えられるのか楽しみです。B’zは過去にもサマソニに2度出演していたり(2007年と2009年)、エアロスミスとの共演フェス「エアロソニック」のような熱い接点も過去にあるわけで(2013年)、決して唐突な起用ではないんですよね。むしろ、海外勢にも劣らないロックを奏でているB’zこそ、20周年のヘッドライナーに相応しいのかなと。この日は他にもフォール・アウト・ボーイウィーザーなど、ロック系の顔ぶれが目立ってますね。

今年のラインナップは、曜日によってカラーが違うんですよ。レッチリの出る2日目はラウドな洋楽が中心で、ザ・チェインスモーカーズがトリを務める3日目は、ダンスミュージック系に寄せていった感じ。サマソニの軸は今もロックにあると思うんですけど、近年はジャンルの幅が広くなっていて。僕のなかでは2011年に少女時代が出たときから、何かが決定的に変わったと思うんですよね。本当に何でもアリになったというか。





高崎:それは同感です。当時、(クリエイティブマンの)平山くんと「サマソニがやってないのは韓流くらいじゃない?」と話したのを覚えているので。ついに来たかと思いました。僕があえてサマソニを語るとすれば、ロックのイメージがレディオヘッドで完成したあと、フェス独自のカラーが出始めたのはブラック・アイド・ピーズの年だと思うんですよ(2007年)。あそこで一つの新基軸を示したというか。

安藤:たしかにそうですね、チョイスの幅も一気に広がったように思います。その流れで、10周年(2009年)はビヨンセがヘッドライナーを務めたりして。

―そう聞くと、ロック路線も「何でもあり」も内包した今年のサマソニは、ある種の集大成のようにも映りますね。

高崎:完全にそうですよ。今年のサマソニ、答案用紙だったら100点ですもん(笑)。

安藤:おお、本当ですか?

高崎:だって、サマソニらしさが凝縮されてるじゃないですか。ヘッドライナーにB’zを据える挑戦をしつつ、その翌日をレッチリに任せるのは、フェス初期から一貫したロックへのこだわりが伝わってきますし、一方で3日目のラインナップには、ゼッドやカルヴィン・ハリスでマリン・ステージが盛り上がった近年の成果も反映されている。そこにマキシマム ザ ホルモンや[ALEXANDROS]、BABYMETALなど強力な邦楽勢も組み込みつつ、BLACKPINKのような旬のポップスターから、ロバート・グラスパーのような音楽好きの唸る顔ぶれに、ブリング・ミー・ザ・ホライズンなどラウド系まで押さえてあるという。各ジャンルのファンに「今年、これ見たいでしょ?」っていうのが提案できてるんですよ。これは絶対に100点です!

安藤:よく分析されてますね(笑)。細かいところまで行き届いているという点では、ダムドやマイケル・モンローなど、見逃しそうなところにポイントが隠れていたりもします。

高崎:ブロックハンプトンはウチも呼びたかったんですよ。さりげなく入ってて、すごいなーって思いましたね。




―ヒップホップでいえば、フジに出演するヴィンス・ステイプルズも注目ですよね。安藤さんは今年のフジについてどんな印象を抱いていますか?

安藤:仕事ではメタル/ハードロック担当なので、その辺りの音楽はもちろんよく聴くんですけど、個人的にはエレクトロニカやジャズも好きで。今年でいえば、NYで活躍している日本人キーボーディストのBIGYUKIは気になります。あと、銀杏BOYZも出るんですね。フジはサマソニと比べて、洋楽ファンと邦楽ファンの垣根が低い気がします。その辺の親和性を考えながらブッキングしているのが伝わってくるし、移動中も気になる音楽と偶然出会ったりするじゃないですか。そこは素直に羨ましい。

高崎:あと今年のダークホースは、レッド・ホッド・チリ・パイパーズ(笑)。

安藤:そうだ、大阪の担当から電話がかかってきましたよ。「フジにもレッチリ出るんですか!?」って(笑)。

高崎:レコード会社にも「フジに出るんですか?」って問い合わせが殺到したらしい(笑)。

安藤:ウチでも「何者だ?」って調べてましたもんね。バンドのYouTube再生回数が一気に増えたと聞きました。

高崎:サマソニのレッチリ出演が決まる前からオファーしてたので、悪ふざけでは決してなくて。おかげさまで、みなさんにも好意的に受け取っていただき、たっぷりイジられてます(笑)。




―ちなみに、パイパーズの略称はどうなりそうですか?

高崎:Inter FMの方は「チリパイ」と呼んでました。

―ちょっとエッチですね(笑)。では最後に、お互いのフェス開催に向けてエール交換をお願いします。

高崎:さっきも話したように、今年のサマソニは100点満点ですよ。「これで入らなかったら、もう無理!」ってくらい素晴らしいブッキング。かたやフジも、従来のフジらしいアクトと新機軸を両立させることができたと思います。今年はたぶん、どちらも上手くいくんじゃないかな。

―実際、フジもサマソニもチケット売れ行きが好調みたいですね。

高崎:そうなんですよ!

安藤:どちらも洋楽の今を知ることのできるラインナップだと思いますし、野外と都市型、それぞれの特色を活かしたステージが楽しめると思います。フジで10年以上前、雨の中で見たビョークのライブは今でも鮮明に覚えてますけど、そんなふうに素敵な思い出も作れると思うので、ぜひ生で体感してもらいたいですね。

高崎:洋楽ファンもそうでない方も、両方のフェスに足を運んでいただければ、「やっぱり洋楽アーティストってすごいな」と肌身で感じてもらえるはず。それくらい旬のアーティストが両フェスに集結するので、ぜひとも自分の目で見てもらいたいですね。両方とも参加していただけるのがベストですけど、どちらか片方でもぜひ(笑)。みんなで盛り上げましょう!



FUJI ROCK FESTIVAL’19のポスター

FUJI ROCK FESTIVAL’19
期間:2019年7月26日(金)27日(土)28日(日)
会場:新潟県 湯沢町 苗場スキー場

オフィシャルサイト:
http://www.fujirockfestival.com



SUMMER SONIC 2019
2019年8月16日(金)、8月17日(土)、8月18日(日)
東京:ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ
大阪:舞洲SONICPARK(舞洲スポーツアイランド)
http://www.summersonic.com/2019/

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