1970年代から現代まで、LGBTQを讃える名曲26選

パフューム・ジーニアス「クイーン」

シアトルのマイク・ハッドレアスはミュージックビデオ「クイーン」の中で、若い少年から驚異的なクィアへ変身した。「私が気取って歩く時、家族は安全じゃないわ」と歌いながら、彼は会議室へこそこそと入り込み、スーツの男性で埋め尽くされた部屋で腰をくねらせる——LGBTQの人々へ恐怖を感じ、嫌悪感を持っている人々に対し役員室や評議会、そしてストリートから仕返しをしているのだ。2014年のガーディアン紙のインタビューに対して、ハッドレアスはこう明かしている:「私は、自分がコントロールできないことが人々を不快にしていることに対して、いつも強い怒りを感じているの。だからこの曲は、“ふざけるな”ってメッセージが存分に込められているわ——私は、私じゃない誰かが、一度で良いからこの不快な気持ちを味わってみれば良いと思っていたのよ」

アゲインスト・ミー「トゥルー・トランス・ソウル・レベル」

2016年、著書『Tranny: Confessions of Punk Rock’s Most Infamous Anarchist Sellout』で、アゲインスト・ミーのフロントウーマン、ローラ・ジェーン・グレースは、モーテルの部屋の中に消え、ドレスを着る練習をし、徐々に自身を女性として導いていった様を明かしている。2014年、ローラはローリングストーン誌に「女性でいることに対して勇敢になっているのに、まだそれを秘密にしていて、どこにもいく場所がない状態」であったと告白。「何もないような場所にあるモーテルにたどり着き、廊下を彷徨いながら、誰にも見られたくないと思っていた」と言う経験は、生きるために戦うトランスジェンダーの女性としての咆哮を歌い上げたパンクチューン「トゥルー・トランス・ソウル・レベル」のアイディアに繋がった。

シャミール「オン・ザ・レギュラー」

といったポップ界のカウンターテナーたちが作り出した伝統の狭間で、2015年にアルバム『ラチェット』でデビューしたシャミール・ベイリーは、セクシーかつ中性的な言葉遊びを繰り出し、リスナーの心を奪った。同年、ベイリーは、自身がジェンダークィア であることを呟いた——「自分にジェンダーはないし、セクシュアリティもないし、どうでも良いと思ってるから」と。その後、ベイリーはThe Advocate誌に「小さい頃から男性的であり、女性的なエネルギーを持っていた。中性的になろうとして、こうなったんじゃないんだよ」と語っている。自身のスウィートなサウンドそのままに、敢えてカッコつけるようなことはしない。それは、カウベル・ディスコ的な要素を持つ「オン・ザ・レギュラー」からもはっきりとわかるだろう。「私を試さないで」と、ベイリーは優しく囁く。「私は、フリーのサンプルじゃないから」

シーア「アライヴ」

2013年の8月、シーアはこう呟いた:「私はクィア。でも自分をレズビアンだと定義づけてはいないわ。だって、今までデートしてきた相手はほとんど男性だったから。女性ともデートしてきたけどね」こうして様々な噂をシャットアウトし、シーアというヒットメーカーの紡ぐ曲を愛する、LGBTQの羨望の眼差しに浸ることとなった——彼女はリアーナの「ダイヤモンズ」やビヨンセの「プリティ・ハーツ」他、様々な楽曲制作を担当した——彼らの気分を向上させ、力づけるようなメッセージを送るために。シーアのアルバム『ディス・イズ・アクティング』からシングルカットされたほとんどの楽曲は、様々な目的へのアンセム・ソングであり、「アライヴ」では彼女の非常に力強いヴォーカルワークが、アデル、トバイアス・ジェッソ・Jrと共作したトラックに乗せて響き渡る。歌詞の中にあるように、「あなたはすべてを奪っていった」が、彼女はこう宣言する。「それでも、私は息をしている/私は生きているわ!」

Translated by Leyna Shibuya

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