音楽産業、2030年までに4兆円規模に成長 ゴールドマンが予測

より多くの人が音楽にお金を払うようになっても、一人ひとりが払う金額は減る、というのがゴールドマン・サックスの見通しだ。同社は、加入者一人当たりの平均売上(ARPU)が2018年は32ドルだったのに対し、2030年には24.60ドルに急降下すると踏んでいる(当初は2030年も2018年とほとんど変わらないARPUを見込んでいた)。なぜだろう? それは、音楽ストリーミングプラットーフォームがファミリーなどの一部のターゲット層に対して大々的な割引キャンペーンを実施すると同時に、新規ユーザーの取り込みを目的に他のエンターテイメント会社とのセットプランを提案しているからだ。だが、「ARPUの短期的な減少傾向を踏まえた、ユーザーによるスピーディーな適応は、業界全体の収益構造を支える企業には長期的かつ有益である」とゴールドマン・サックスは言う。時間の経過ともに、サービス解約率の減少も見込める。

音楽ストリーミング全体の話をすれば、ひとつのサービスがすべてを支配することはない、とゴールドマン・サックスは考えている。「音楽ストリーミング市場は競争率の高さを維持しつつも“ひとり勝ち”状態にはならない」とリサ・ヤン氏が率いる同社のインターナショナル リサーチ チームは報告した。ヤン氏のチームは、SpotifyやApple Musicが業界のリーダー的存在であり続ける一方、2030年にはSpotifyが32%、Apple Musicが16%と(2018年の同時期と比べるとSpotifyが38%ダウン、Apple Musicが20%ダウン)、両社のシェアが「時間とともに減少する」と予測している。そしてAmazon、YouTube、Facebookなどのグローバル企業のシェアが10から14%アップする、という見通しだ。さらにゴールドマン・サックスは、中国を拠点とするTencent Musicのグローバルレベルでの有料サービスユーザー数が2018年から11%アップしたのに対し、2030年には23%アップする、と踏んでいる。

同社のレポートは、2018年に有料ストリーミングサービスの総合ユーザー数が2億5500万人になり、4年連続で世界の音楽産業の売り上げ増加に貢献した、という国際レコード・ビデオ製作者連盟(IFPI)による最新の音楽産業レポートの内容とも合致している。

Translated by Shoko Natori

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