エルトン・ジョン、ベスト・カントリー・ソング10選

5. 「歌うカウボーイ、ロイ・ロジャース」(1973年)

「風の中の火のように(孤独な歌手、ノーマ・ジーン)」や「土曜の夜は僕の生きがい」のような曲の鮮やかに色づけられたノスタルジアはジョンの才気あふれたアルバム『黄昏のレンガ路』が持つ数ある魅力の1つである。白いカウボーイハットをかぶって映画やテレビを席巻していたジョンの幼少期のヒーロー、ロイ・ロジャースへの思春期前の憧れを歌ったこの曲は、輝かしいロック・スターである彼が歌う曲の中でも最も無邪気で美しい曲なのではないだろうか。その「輝くすばらしいカウボーイ」(カントリー・ミュージックの殿堂に唯一2度選ばれたアーティストである)はジョンの未来の衣装にも相当な影響を与えている。

6.「いたずらジャック」(1973年)

なぜもっと多くのカントリーやブルーグラスのアーティストがこのワクワクさせてくれる曲(「土曜の夜は僕の生きがい」のB面曲である)に気づかなかったのかは謎である。これは農夫の銃撃から逃げるうさぎに向けて歌った癖になるような曲であるが、同じAメロとサビが2回繰り返される2分にもならない曲で、確かにそれほど大した内容もないかもしれない。しかし、その演奏は見事なもので、狡猾なこのタイトルのキャラクターの運命について考えるためだけでも、何度も聞く価値があるだろう。

7.「デキシー・リリー(ショーボートが川を行く)」(1974年)

デキシー・リリーと名前がついたショーボートが通り過ぎていくミシシッピ川の土手でジョンとトーピンがのんびりしているのが想像できるようなこの壮大な曲で、彼らはアメリカ南部に立ち戻った。ジョンの軽快なホンキートンク・ピアノで曲は進行し、ノスタルジックで夢のような歌詞で、彼が「リリー号が世界から去っていくのを眺めていた」頃のシンプルな時代を呼び起こしている。ディキシーランド・ジャズのテイストが少し入ったカントリーであるこの曲は2人の作品の中でも特に情景が目に浮かぶような曲で、1974年の『カリブ』のハイライトでもある。

Translated by Takayuki Matsumoto

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