米イリノイ州、嗜好品としての大麻解禁へ

イリノイ州がマリファナ合法化法案を可決。嗜好品としての大麻使用を認める全米11番目の州になる可能性が高まった。(Photo by Seth Perlman/AP/REX/Shutterstock)

現地時間5月31日、米イリノイ州で嗜好品としてのマリファナ(大麻)合法化法案が可決された。法案はこの後J.B.プリツカー州知事に提出される。シカゴ・サン・タイムズ紙によれば、州知事はすでに法案に署名する計画だと発言していることから、イリノイ州は嗜好品として大麻使用を合法化する11番目の州となるものとみられる。

大麻規制課税法が制定されれば、2020年1月1日より21歳以上のイリノイ州居住者は30グラム以内の大麻花冠、5グラム以内の濃縮大麻、または500ミリグラム以内のテトラヒドロカンナビノール(THC)を含む大麻製品を購入および所有することが法律で認められる。

法案には、30グラム以内の大麻が絡む推定80万件の有罪判決を犯罪記録から抹消するという社会公正条項も盛り込まれている。30~500グラムの大麻絡みの有罪判決の場合は、個人または州検事局が裁判所に上訴できる。

課税に関しては段階税率が導入される。THC含有量が35%未満の大麻花冠の場合は税率10%、大麻含有製品は20%、THC含有量が35%以上の大麻製品は25%の税率が適用される。これとは別に州の売上税6.25%が加わる他、各自治体から3.5%の追加課税が適用される場合もあると、大麻関連サイトMarijuana Momentは報じている。

合法大麻による収入のうち、35%は州の一般歳入に割り当てられ、25%は新設されるコミュニティ復興費として、差別的な麻薬政策で被害を被ったコミュニティに給付金という形で分配される。また20%はメンタルヘルスおよび薬物依存治療費に、10%は未払債務の補填に、8%が警察のトレーニング補助金、残る2%が公衆麻薬教育に充てられる予定。

法案が承認されれば、大麻販売所には2020年5月1日まで、加工業者、生産者、流通業者には同年7月1日までに許認可が発行される予定。

合法化をめぐる議論では、自宅栽培に焦点がしぼられた。当初の法案は、成人であれば1世帯当たり苗木5本まで(ただし地主の許可は必要)外から見えない密室で栽培することが認められていたが、のちに修正が加えられ、この条項は医療用大麻を必要とする患者6万5000人の州域患者にのみ適用されることとなった。現在は、こうした患者であっても自宅栽培は認められていない。

だが、この場合も、少量の栽培であれば実質的に罪に問われない。患者以外の人間が5本以下の苗木を栽培した場合、刑務所行きの代わりに、罰金200ドル以下の軽犯罪となる。

Translated by Akiko Kato

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