ゲームは世界をどう繋いでいるのか? HIROSHI(FIVE NEW OLD)・平岩康佑氏対談

左からHIROSHI(FIVE NEW OLD)、平岩康佑氏(Photo by Takuro Ueno)



ゲームを通じて生まれるもの

ー顔の見えないコミュニケーションツールが増えたけど、そこで扱われるのは言葉だから、白か黒か、正解か不正解か、っていう極端さが露わになって、お互いへの想像力と思いやりが置いてけぼりになってしまう側面がある。だけどゲームだと、もっと純粋でフラットな助け合いや楽しさが生まれていきますよね。

平岩:そうですよね。ゲームだからこそ、お互いのピュアな部分が見えたりするんですよ。この人はかなり人を助けてくれるな、とか。この人は結構無理するタイプだな、とか(笑)。そう考えると、凄く新しいコミュニケーションの形を作っている最中なのかなっていう気がしてきましたね。自分の知っている人と一緒にゲームをやっている時でも、もちろん優しさや思いやりはありますよ。だけど、知らない人とでもボーダレスに繋がれて純粋な助け合いができるのがオンラインゲームだっていうことも、もっといろんな人に知って欲しいですね。

HIROSHI:それに、パーソナリティがそこにないからこそ、ゲームを通じて生まれる博愛もありますよね。女性のキャラクターを使っている男性のプレイヤーもいるだろうし、年齢が上だろうと下だろうと関係なくて。そのフラットさとか、お互いを無条件に思いやれたり想像力を働かせたりっていうのは、今の世の中に一番大事なことかもしれないなって思うんですよね。

平岩:たとえば僕が『PUBG』をやっていた時に、オンラインで4人ひと組だったんですよ。そのチームの中に台湾人のプレイヤーがいて、今度大阪に行くんだって言ってて。その当時の僕は大阪に住んでいたので、「じゃあ会おうよ!」っていうことになって、本当に一緒にご飯に行ったんです(笑)。ゲームの中だけど、助け合った記憶がある状態で人と実際に会えるのは凄く楽しくて、すぐに仲よくなれましたね。

HIROSHI:素敵な話だ……。

平岩:たとえばそれがサバイバルゲームで相手を撃つ内容だったとしても、「勝ちたい」っていう気持ちでやる人はたくさんいると思いますけど、相手の頭をめちゃめちゃに撃ち抜きたいっていう気持ちでやってる人はそんなにいないと思うんですよ。それに、論文も発表されていて、残虐なゲームをやっていたとしても、子供の残虐性には直結しないっていうことが発表されている。だから、前々から言われている「残虐なゲームをやるとよくない」っていうよりも、チームで団結して勝とうとしている部分の熱さや面白さを見て欲しいなっていう気持ちは強いですね。

HIROSHI:そうですよね。それに今って、音楽においてもゲームにおいても、日本の自分達の世代が頑張って世の中の閉塞感を打開しようとしてるなって思うんですよ。たとえばeスポーツがちゃんと世界的なビジネスになっていることも、好きなものに対してひたむきに向き合うことを世の中がより一層認めるようになってきていることの表れだと思っていて。日本の風土の中で特にゲームや音楽はそうですけど、「遊びでしょ」って言われやすいものだと思うんです。だけど、「自分の好きなことはたかが遊びなんだ」って引け目に感じず、好きなことに対して堂々と胸を張れる世界になって欲しいし、そういう空気を作っていけたらいいですよね。

ーゲームと音楽を生業にしているのも、計算のできない世界に「好き」っていう気持ちだけで飛び込んで行ったところから始まっているわけですよね。そうして飛び込む時点での勇気まで削がれてしまう世の中ではあって欲しくないですよね。

平岩:「ゲーム」の在り方が純粋に「好きなことを貫く」という見方になれば、他のジャンルでもどんどん好きなものをやれる世の中になっていくと思うんですよ。だって不思議じゃないですか、高校野球だったら1日10時間も体にムチを打って練習していることに対しては「美しい」と言われるのに、ゲームとかだと、遊びのように思われてしまう。だけど、何か好きなものに没頭しているっていうことにおいては一緒のことだと思うし、好きなことを貫くっていうことは必ず人にとって財産になると思うんです。

HIROSHI:音楽も、目に見えないものだからこそ国境や人種の違いも超えていけるんだなって実感することばっかりなんですよ。それこそアジアツアーを回ってもそれは強烈に感じたことで。自分達の音楽性も含めて、日本だからこそ生まれたものを伝えて行くために、世界の音楽に対しても線を引かずにバンドとして吸収していきたいと思ってますね。

ーおふたりとも、大きく見れば同じ方向、同じ理想を掲げているんだとわかるお話を伺えたと思います。この先の展望としては、どういうものがあるのかを最後に訊いてもいいですか。

平岩:そうですね……日本国内の話で言うと、eスポーツの興行としての規模をプロ野球以上のものにしたいと思っていて。というか、この5年でプロ野球を抜きたいと思っていて。今のプロ野球の興行としての規模が2000億円と言われているんですけど、それ以上の規模にeスポーツを持っていきたい。たとえばプロ野球って、細かいルールがわからなくても仕事帰りにビールを飲みながら観て、ホームランに盛り上がって、人と一緒に熱狂できる場になっているじゃないですか。そういう場所として、eスポーツを成長させたいなって思ってますね。で、僕個人で言うと、ゲームからもらったものは「考える力」だと思っているんですよ。人間って、意外と考えることをしないじゃないですか。受動的にテレビを観て、流れてくるニュースを見て。それは楽かもしれないけど、ゲームって、自分で考えないと負けちゃうんですよ。たとえばボスに負けた後に、「なぜ負けたのか」を考えて、改善して策を練る。その繰り返しをやるうちに、ゲームから考える力を学ばせてもらった気がします。まあ、それを勉強でやれればよかったんですけどね!(笑)。

HIROSHI:はははははは! 心から好きになったものなら、考えたり、課題と向き合ったりすることも自然とやるようになっていったりしますよね。だからこそ僕も、自分が好きになったものに誇りを持って、それを愛している自分のことを自分で愛して欲しいって伝え続けていきたいと思ってます。日本人として誇りを持って出せるもの、アジア人として誇りを持って出せるもの、そして世界市民として誇りを持って出せるもの。どんどんボーダーを突破して、好きなものだけで繋がっていきたいですね。明後日からタイにまたライブに行くんですけど、音楽だけじゃなくても、自分がもうひとつ愛しているゲームっていうカルチャーでも世界と繋がれるんだって実感できる機会を日々感じているので。誇りを持って、好きなものを貫いていきたいですね。



平岩康佑
フリーアナウンサー、株式会社ODYSSEY代表取締役。1987年、 東京都品川区生まれ。朝日放送のアナウンサーとして、プロ野球やJリーグ、箱根駅伝などの実況を担当。2018年春に同社を退社し、株式会社ODYSSEYを設立。日本最大級のeスポーツイベントRAGEやパワプロチャンピオンシップなどで実況を担当している。https://www.odyssey-esports.com/

<FIVE NEW OLD INFORMATION>



3rd EP『WHAT’S GONNA BE?』
FIVE NEW OLD
発売中

FIVE NEW OLD「"Emulsification" Tour」
2019年9月22日(日)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
2019年10月5日(土)新潟県 CLUB RIVERST
2019年10月6日(日) 石川県 Kanazawa AZ
2019年10月14日(月・祝)北海道 cube garden
2019年10月18日(金)神奈川県 横浜BAYSIS
2019年10月20日(日)宮城県 仙台MACANA
2019年10月24日(木)広島県 CAVE-BE
2019年10月26日(土)香川県 DIME
2019年10月27日(日)愛知県 THE BOTTOM LINE
2019年11月9日(土)大阪府 ユニバース
2019年11月22日(金)福岡県 DRUM Be-1
2019年11月23日(土・祝)熊本県 熊本B.9 V2
2019年11月24日(日)山口県 LIVE rise SHUNAN
2019年11月29日(金)東京都 EX THEATER ROPPONGI
https://fivenewold.com/

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