セックスカルト集団で2年間監禁された女性が法廷で激白「1日中、部屋の壁を見ていた」

公判中のキース・ラニエール被告(右から二番目)の様子。裁判は5月上旬から続いている。(Elizabeth Williams/AP/REX/Shutterstock)

現地時間5月29日、自己啓発団体ネクセウムの指導者、キース・ラニエール被告と肉体関係にあった同団体の元女性メンバーが証言台に立った。他の男性と恋仲になった罰として被告から2年間監禁されていたと証言した。

ダニエラとだけ名乗った証人は、ネクセウムが本拠地としていた米ニューヨーク州オールバニー郊外クリフトンパークのウィルトンコート12番地での監禁生活を涙ながらに振り返った。彼女が監禁されていた小さな部屋にはマットレスしかなく、部屋の外に出られないよう、ラニエール被告とネクセウムのメンバーらが監視カメラを設置していたという。

「1日中、部屋の壁を見て過ごす日々でした」と、現在33歳のダニエラは語った。彼女の胸が張り裂けるような生々しい証言は1週間続いた。ダニエラが言うには、しばしば「自制心を失い」、自殺が頭をよぎったこともあるという。ネクセウムの元メンバー、ローレン・ザルツマンも先の証言で述べたように、ラニエール被告宛に「出してください、私は更生しました」と手紙を書いて、ザルツマンに手渡したこともあった。

ラニエール被告は現在ブルックリンで公判中。複数の女性メンバーたちとの性的関係を持っていた被告は、性的目的での人身売買、恐喝および強制労働共謀罪などの罪に問われ、最大で終身刑が求刑されている。

メキシコ生まれのダニエラは、10代のときにネクセウムのセミナーを受けた後、オールバニーへ移住した。以前の証言によると、ラニエール被告と性的関係をもつようになったのは18歳の誕生日を迎えて間もなくだという。2人の姉、マリアナとカミーラもラニエール被告と性的関係をもった結果妊娠したが、2人も中絶するよう命じられた。

ダニエラの証言によると、ラニエール被告が監禁を命じたのは、彼女がベン・マイヤーズと言うネクセウムの男性メンバーと恋仲になったのが理由だった。被告の他の元恋人も証言している通り、被告は他の女性とセックスしてもよいが、女性は他の男性と寝てはならない、というのが被告との関係のルールだった。

2010年3月、いわゆる「倫理違反」に憤慨したラニエールは、ザルツマンをはじめとする他の女性たち送り込んでダニエラに謝罪を促した。だが彼女は謝罪を拒否。被告の恩寵を取り戻したいダニエラがザルツマンに相談したところ、ザルツマンは、おそらく被告の命令をうけてと思われるが、部屋の中で反省する罰を受けてはどうかと提案した。ダニエラは、同じくネクセウムに関わっていた両親ともどもこの提案を飲んだ。彼女は身分証明書をネクセウムの別のメンバーに預け、メキシコへ逃げ戻ることもできなくなり、しぶしぶ部屋の中へ入っていった。「選択の余地はありませんでした」

Translated by Akiko Kato

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