ビリー・アイリッシュ、兄と親の影響で育まれたアイコンの資質

2019年4月20日、カリフォルニア州インディゴで開催されたコーチェラ・フェスティバルに出演するビリー・アイリッシュ(Photo by Christopher Polk/REX/Shutterstock)



彼女の魅力には、兄フィニアスとの共同創作という一面もある。2人は兄の部屋で、共同で作曲プロデュースしているのだ(ケイト・ブッシュもまた、兄パディが縁の下の力持ちだった)。2人は映画業界で働く両親のもと、自宅学習をうけて育った。父は『ザ・ホワイトハウス』にバーテンダー役で出演した経験があり、フィニアスは『グリー』の最後のほうでキャストに加わった。2人が自宅学習していたと聞いたとき、ふとハンソンを思い出して思わず笑みがこぼれた。オクラホマの兄弟が「キラメキMMMBOP(ンー・バップ)」で一世を風靡した年にフィニアスは生まれている。だが驚いたことに、2人の父親は自宅学習を始めた理由はハンソンだと明かした。「彼らはオクラホマの敬虔な家で自宅学習をしていましたが、それにもかかわらず」と、父親はニューヨーク・タイムズ紙にこう語った。「実際には、彼らは自分たちの興味を持ったことをとことん突き詰めることができたのです」

親に反抗するのは、10代の若者にとっては仕事のようなもの。だがアイリッシュはびっくりするほど、世代を越えて支持されている。彼女はジェネレーションXの母親から多分に影響を受けている。年齢層の高いオーディエンスにとって彼女の存在は、かつて自分たちがアラニス・モリセットやコートニー・ラヴ、PJハーヴェイらに抱いた不安感を彷彿とさせるのだ(アイリッシュの美意識も突き詰めていけば、「Down by the Water」でPJハーヴェイが「little fish, big fish」と連呼する不気味なささやき声に行きつく)。

筆者の友人は2人とも、「バッド・ガイ」を聴いて同じ経験をした。子供たちから「たぶらかす」とはどういう意味かと訊かれたのだ。だがこれも、スターが世代の境界線を越えるときにはつきもの。そして彼女が目指すスター像も、まさにそういう存在だ。「娘がビリー・アイリッシュにすっかり夢中なんだよ」と、ジェネレーションXのとある父親が言った。デイヴ・グロールも「1991年にニルヴァーナが出てきたときと、同じことを彼女も体験しているんだろうね」と語っている。

Translated by Akiko Kato

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