人間椅子・和嶋慎治が「青春の情熱」のまま、一度も休まず30年間バンド活動できた理由

人間椅子:左から鈴木研一(Vo, Ba)、和嶋慎治(Vo, Gt)、ナカジマノブ(Vo, Dr)(Courtesy of TOKUMA JAPAN)

21枚目のオリジナル・アルバムにして、デビュー30周年記念アルバム『新青年』を発表する人間椅子。彼らのブレない歩みの集大成となった本作は、ある種のすがすがしさに満ちている。バンドの中心人物であり、ギター/ヴォーカルを務める和嶋慎治に、本作の魅力をたっぷりと語ってもらった。

―『新青年』、聴くたびに発見のある濃密なアルバムです。今の手応えは?

和嶋:30周年ということで、メモリアルを意識しました。人間椅子というバンド名は、江戸川乱歩の小説から取っているんですけれども、今回のアルバムには、何か乱歩にゆかりのあるタイトルを付けたくなりました。乱歩をはじめ、夢野久作の作品からも僕ら人間椅子はタイトルを借りたりしているんですが、彼らが書いていたのが『新青年』という雑誌だったんです。これをアルバム・タイトルにすると、すごくメモリアルっぽいというところが出発点でした。良すぎるぐらいに良いタイトルだと思ったので、僕はそれがちょっとしたプレッシャーにもなりましたけど。とはいえお陰様で、この名に相応しい内容にはなったかなと感じています。

―このタイトルに引き寄せられるようにして、どんどん楽曲のアイデアを得たわけですね。

和嶋:そうですね。たとえば、「鏡地獄」という曲があるんですけど、いつかこの曲は作りたいと思ってました。自分が大好きな乱歩の小説なんです。作りたいと思っていても、タイミング的に着手できず、今回『新青年』というタイトルを掲げたことで、ようやく形にすることができました。タイトルもそうだし、30周年のメモリアルということもあって、原点を見つめつつ、ちょっと青春の感じも出したいと思ったんですよ。またこれから活動していく気持ちを表わしたかったんですが、このタイトルを付けたことによって、より青春の頃の感覚を取り戻すことができて、それが曲にも表われたかなと。聴いて、何かしら新しさを感じていただけたのなら、それはやっぱり『新青年』だからこその青春の感覚なのではと思います。

―なるほど。若々しい感覚が出ているわけですね。

和嶋:年を重ねると、当然、年齢相応の表現になっていくわけですが、ただ「あの頃は良かった」というふうに青春を懐かしむ感じではなくて、青春の頃の感覚そのままで今もやっているということを出したかった。今回、それが上手くできたんじゃないかな。バンドを休止せずに30周年まで来たということは、やはり青春の情熱のままでやってるんだなという気が改めてしましたね。

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