人間椅子・和嶋慎治が「青春の情熱」のまま、一度も休まず30年間バンド活動できた理由

人間椅子:左から鈴木研一(Vo, Ba)、和嶋慎治(Vo, Gt)、ナカジマノブ(Vo, Dr)(Courtesy of TOKUMA JAPAN)



どんなに長くても、必ず2~3年以内の間隔でアルバムを出している

―前2作の『怪談 そして死とエロス』と『異次元からの咆哮』には良質のキャッチーさを感じたのですが、今回の『新青年』は、そこからさらに何歩も進んだ30周年の重みを感じます。

和嶋:元々僕らはヘヴィなサウンドでやりたいと思ってたから、そこをまず意識的に出そうと思いました。今回は、どちらかと言うと、ミドルテンポとかゆっくりしたテンポの曲のほうが多いんです。歌詞や曲の雰囲気に、青春ならではの憂鬱な感じがあると思うんですよ。多分、一番悩み多き年頃って、青春時代だと思うんですよね。そこから世の中といろいろ折り合いをつけて、人間は落ち着いていくんですけど、まだ落ち着く手前の世の中に対しての、期待だったり……。繊細な人は、その期待が大きすぎて不安になったり、「自分は一個の人間として生きていけるんだろうか?」みたいな問いを青春時代に持つと思うんです。その辺の感覚を今回は色濃く出してみようと思いました。だから、わりとネガティブな視点からの歌詞をあえて書いてるんです。

―青春の中でもがき苦しんでいる人に寄り添うような歌詞なんですね。

和嶋:ああ、まさにそういう感じです。今、青春の人に届けばいいなと思って、作ったんですよ。ただ、その悶々とした中にいるだけではなく、そこから踏み出さなくてはいけないというニュアンスは入れるようにしましたね。それはもう、自分が50歳だから、そうなったんだと思う。

―つくづく、良いアルバム・タイトルですよね。さまざまな試練を重ねてきたからこその深みもあるのでは? これまでの人間椅子の歩み、決して良いことばかりではなかったでしょうから。

和嶋:僕は、ある時、悶々とした憂鬱なところから抜け出せたという、人生の中での体験がありましたので。今回はそれをただ言うのではなく、悶々とした側から言ってみたいと思ったんです。

―和嶋さんはよく、2013年のOZZFEST JAPAN 2013でのステージから“再デビュー”のように感じているとおっしゃっています。そういう意味では、『新青年』は単なるメモリアルな作品というより、人間椅子の転機となる作品に仕上がったのでは?

和嶋:はい。『新青年』というタイトルが非常にデビュー・アルバムっぽいですから、そのぐらいの気持ちで作りましたよ。やっぱり、30周年って、10周年、20周年とは重みが違いますね。周年って、一回立ち返ることができるから、良いことかもしれません。

―しかも、活動をコンスタントに続けての30周年というところが素晴らしいです。

和嶋:5年とか休んだことがないですもんね。どんなに長くても、必ず2~3年以内の間隔でアルバムを出しているので。だからまた、そういう新しいページが開く感じでアルバムを作れて良かったですね。あとはやっぱり、日本人なので、元号が変わるのは何かしらのビッグ・イベントだなと思ってました。今年は世の中、何か新しい時代に向けての期待感みたいなのが高まるんじゃないかと思ったので、そこはちょっと乗っかりたいですよね(笑)。「新しい」という感じを出したくて、それも含めての『新青年』だし、「新青年まえがき」という曲でそこはかなり意識しました。

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