自己啓発団体を隠れ蓑にセックスカルトと化した「主人」と「奴隷」の異常な関係

ニューヨークのブルックリン連邦裁判所を後にするローレン・ザルツマン(Photo by Seth Wenig/AP/REX/Shutterstock)

2018年3月、自己啓発団体ネクセウムの元幹部にして、同団体内の秘密組織でありセックスカルト集団「DOS」の一員だったローレン・ザルツマンは、メキシコのプエルト・バヤルタ郊外の家のキッチンでスムージーを作っていた。

その時、同じくネクセウムのメンバーで友人のロレッタ・ガルザが駆け込んできた。グループのカリスマ指導者で、ザルツマンとはなんやかんや20年も恋人関係にあったキース・ラニエール被告を逮捕しようと、警察がやってきたと言うのだ。

ザルツマンはたちまちパニックに陥った。ラニエール被告がメキシコに逃亡したのは1年前。ネクセウムの下部組織で、「奴隷」と「主人」から成る女性だけの秘密組織DOSの首謀者がラニエール被告だと、ニューヨーク・タイムズがすっぱ抜いたのがきっかけだった。被告が運営していたとみられるこの集団は、女性に焼印を入れ、「担保」として卑猥な裸の写真を無理やり提出させ、ラニエール被告とのセックスを強要していた。

ザルツマンをはじめ、ガルザ氏や『ヤング・スーパーマン』の女優アリソン・マック、『バトルスター・ギャラクティカ』の女優ニッキ・クラインといった他のDOSのメンバーらは、ラニエールを訪ねてメキシコへ飛んだ。マスコミの批判的な目が集団に向けられていたにも関わらず、DOSのメンバーは「再宣誓式」(のちにザルツマン本人も証言したように、ようは集団セックス)を開いて、被告への忠誠を誓うつもりだった。

だがラニエール被告には残念なことに、再宣誓式は行わずじまいだった。3月25日、警察当局が被告の家に現れ、性的人身売買と恐喝容疑で逮捕した。警察が姿を見せた時、「私の思いはただひとつ、キースを守ることでした」とザルツマン氏はアメリカ時間21日、ブルックリン連邦裁判所で現在公判中のラニエール裁判で証言した。

彼女の証言によると、警察がラニエール被告の滞在先に踏み込んだ時、被告は2階のベッドルームで昼寝をしていた。彼女は2階へ駆け上がり、被告を逃がそうとした。そしてベッドルームのドア越しに、令状はあるのかと警察に尋ねた。「この間ずっと、『警察がドアに発砲したらどうしよう』と考えていました」。それでも彼女は冷静を保とうとした。「私はキースが無事であることを最優先しました」

Translated by Akiko Kato

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