[ALEXANDROS]の強度を支える白井眞輝「ギターが減っても、その中で主体性を持って何ができるか考える」

[ALEXANDROS]白井眞輝(Photo by OGATA for Rolling Stone Japan)

[ALEXANDROS]のメンバーにソロ取材を敢行。今回はギタリスト、白井眞輝に話を聞いた。

※この記事は2018年9月25日に発売されたRolling Stone Japan vol.04に掲載されたものです。

2018年8月16日、小雨降りしきるZOZOマリンスタジアムで行われた『VIP PARTY 2018』。このライブで、誰よりも楽しそうな様子で演奏をしていたのが[ALEXANDROS]・白井眞輝だった。いつもは寡黙でかつクールな佇まいの彼が吹っ切れたかのようなポジティヴィティに満ちた表情で、時にメロイック・サインまで掲げて、ギターを意気揚々と弾き倒していたのはいつにも増して新鮮な景色に見えた。

今回のアルバム制作にあたり、渡米し、じっくりと長い期間をアメリカで過ごしたことで、彼はこの国の持つある種の楽観的な精神性に深く揺り動かされたという。「高み」を目指し続けるストイックな闘いの中で忘れかけていた、音楽を純粋に楽しむということ――何が起きても「楽しむ」ということの大切さを、彼は今、噛み締めているようだった。

 「世界一のロックスターって肩書きは幻影みたいなもの」と語る白井は、我々が想像する以上にこれから[ALEXANDROS]が歩もうとする道筋に対してフラットだ。世界の音楽シーンや、ギタリストとしての立ち位置など関係なく、いま必要とされること、できることを自分が納得できるまでやり通す。これまで幾多の試練を乗り越えてきた彼は、今、海外進出という大きな目標を前にしても、どこまでも自然体だ。[ALEXANDROS]・白井眞輝は、揺るがない。

アメリカナイズの正体=何事も楽しむこと

ーまず、『VIP PARTY 2018』の感想を白井さんの視点から伺いたいんですが。率直にいかがでしたか? 会場の規模であったり、ストリングスとのコラボだったり、通常のライブとはまた異なる印象があったかと思うのですが。

単純にプレイしていてすごい楽しかったです。日本武道館、幕張メッセという大きい場所で着実にやってきた成果が出たというか。でも、みんな言ってると思いますけど、「やっと武道館ができた! やっとメッセができた!」みたいな感慨はあまりなくて。いい意味での緊張感はありましたけど、それよりも楽しさのほうが勝っていました。

ー気負いよりも、その場を楽しむこと、そしてその先について思いを向けることに集中していた?

そうですね。アメリカでレコーディングをしていたんですけど、そのときは常に頭の片隅には「8月には『VIP PARTY』があるんだなぁ」って思いながらやっていたので。アメリカナイズっていうんですか? 少しかぶれて帰ってきたって言ったらそうかもしれないんですけど。いい意味で影響されて帰ってきて「イェー、楽しもうぜ!」みたいな部分が出たのかもなって思いますね(笑)。

ー言語化するのが難しいとは思うんですけど、そのアメリカナイズの正体ってなんなんですか?

よくアメリカ人の考え方はフランクで合理的というじゃないですか。日本人は礼儀正しいおもてなしの文化とよく言われるけど。でもアメリカ人におもてなし文化がない、礼儀正しくないとか言われればそんなことはまったくなくって。むしろ「気を使ってもらっているな」と感じる瞬間も多々あって。その上でフレンドリーだし、平等な上での敬意があるというか。向こうでお仕事されるスタッフさんとか店員さんとか見ても、楽しんでやってるような感じを覚えたんですよね。ちょっと極端な言い回しになってしまいますけど、日本人ってどこかに仕事は大変でつらいものじゃないといけないとか、楽しさなんて出しちゃいけないみたいな観念があると思うんですよね。でも彼らはどんな仕事であれ楽しそうにやってるのが印象的で。例えば、ニュージャージー州のスタジオでレコーディングしていたとときも一階に現地の夫婦が経営している小さなハンバーガーショップがあって。その人がいつもニコニコ楽しそうにしていて。「1個、ハンバーガーください」っていうと、「OK」ってな具合で、満面の笑顔で焼いてくれて。僕にとってはライブは仕事になるわけで。そのなかで、もしかしたらどこかにつらい思いをしないといけないとか。

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