グラフィティ出身、浮世の女性たちを和紙にスプレーで描くアーティスト

ーそこで自分の中での日本的なものの追求と、スプレーで描くことのこだわりが融合したわけですね。

TOMI-E:そうです。スプレーだけはずっと使っていきたいんです。自分のアイデンティティとして、和紙を使って、浮世絵から受けたインスピレーションがある。でもスプレーだけは外せないんです。スプレーがなかったら僕は今ここにいないわけですから。アメリカからもらったものを、日本人として何か違う形のオリジナルとしてできるものをずっと模索してた中で出会えたんです。

ーそこまでに試行錯誤はありました?

TOMI-E:スゴく悩んで、迷ってしまって、絵が描けなくなって。初めて和紙に吹いてみて、どういうやり方をすればいいんだろう?ってなって。キャラクターを描いても今までと変わらないし。それにキャンバスと違って、色を上から重ねられない。同じ一発勝負でもちょっと感覚の違う一発勝負なんです。色が重ねられないということは、濃い色から乗せていかなくちゃいけない。そこからステンシルみたいな手法で、乗せて重ねていくのが面白くなっていった。ちょうど1年ぐらいかけて、2009年にはもうこれがスタートしてますね。

ー絵を描く時に自分で決めていることってありますか?

TOMI-E:昔から面白い隠し絵は好きでしたね。でも最近の作品では、そういうのもなくすように敢えてしてますね。

ーシンプルになったということですか?

TOMI-E:削ぎ落とされたというか。今までプラスで全部乗せてたものを、ここからマイナスにしていったらどうなるんだ?っていうのをやってるんです。それまでは細かなところに目が行きすぎてしまっていたんですけど、もっと普通にパッと見た時に何を感じるのか、そういう方が大事なんじゃないかと思って。昔は足していって、足していって、面白くしようと思ってたんです。でもシンプルなのがベストなんじゃないかと思って。


「紫掛  Shikake」(©︎TOMI-E, Photo by Yuji Shiraki)

ー絵を描いていて女性のどういうところに惹かれますか?

TOMI-E:うなじですね。一人ひとりの生え方が全然違うんですよ。男にはない女性特有のもので、そこが一番セクシーだと思うんです。あと、正面から描くと絶対ブサイクになるから、少し下を向いたところとか、45度の斜めの角度とかが好きで、ドキッとする瞬間があるんです。本当、いろんな女性がいるなって思うし、セクシーさが一人ひとり違うなって思いますね。昔は女性のタイプが決まってたから、そこでしかインプットできなかったんですけど、一人ひとりのかわいさがわかってきたんです。

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