米ダラスで暴行を受けたトランスジェンダー女性、射殺体で見つかる

先月、暴行されている動画が拡散されたトランスジェンダーの女性、マレイジア・ブッカーさんの射殺体がダラスで見つかった。(Photo by Matt Rourke/AP/REX/Shutterstock)

数週間前、暴行被害に遭った動画がアップされたトランスジェンダーの女性マレイジア・ブッカーさんが、先週末に米ダラスの道路で死亡しているのを発見された。ニューヨーク・タイムズ紙が報じている。

ダラス警察署によると、23歳のブッカーさんは射殺されていたとのこと。警察当局は、先月ブッカーさんが受けた暴行との関連性を示す証拠は見つかっていないと述べた。

ヴィンセント・ウェディントン巡査部長は日曜、報道陣に対し、ブッカーさんが発見されたのは土曜の朝で、「道路にうつぶせになり、暴力を受けて殺されていた」と語った。報道によれば、ブッカーさんは当時IDを携帯していなかったため、検死官は翌日になってようやくブッカーさんの身元を特定することができたという。

CNNによれば、ウェディントン巡査部長はさらに、先月ブッカーさんの暴行容疑で逮捕されたエドワード・トマス容疑者はすでに釈放されていると付け加えた。トマス容疑者は暴行罪で起訴されてはいるものの、「現時点では、昨日発生した事件とエドワード・トマス氏を結びつけるものは何もありません」とウェディントン巡査部長は述べた。

4月12日、ブッカーさんは交通事故に巻き込まれた直後、ダラスの集合住宅の駐車場で複数の男たちから暴行を受けた。暴行の様子を収めた動画はネット上で拡散され、何度も殴るトマス容疑者の姿や、ゲイに対する誹謗中傷を叫びながら蹴り続ける男たちの姿が公開された。暴行が始まる前に、誰かがトマス容疑者に、200ドルやるからブッカーさんを殴れと言う声も聞かれていた。最終的に女性グループがブッカーさんを解放した。ブッカーさんは脳震盪と手首の骨折で入院した。

LGBTの権利を訴える団体Human Rights Campaignによると、トランスジェンダーの人々に対する暴力は増加の一途をたどっているという。致命的な暴力が原因で死亡した人の数は、2017年には少なくとも29名、昨年は26名。だが多くのLGBT賛成派も指摘しているように、実際の数字はもっと多い可能性がある。警察にはトランスジェンダーを標的にした犯罪を報告する義務がないため、情報が一元化されていないことに加え、多くの警察官が被害者の性別を誤って判断してしまうため、混乱が生じて活動家はすぐに被害状況を把握できずにいる。

Translated by Akiko Kato

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