気鋭のアーティスト、SIRUPが支持される理由「目線をお客さんと合わせる」

SIRUP(Photo by Masato Moriyama 衣装協力:Levi’s®)



「これを言うと身も蓋もないですけど、全部これまでの経験のおかげやと思います(笑)。ロクでもないステージも踏みまくってきましたから」。そう話すSIRUP、実は「彗星の如く現れた新星」とかではなく、下積み時代が長い。SIRUPとしての活動は今年で2年目となるが、それ以前、彼は「KYOtaro」名義で活動していて、音楽活動自体は約10年間の経験を経ている。彼の振る舞いや言葉の端々からは、葛藤も苛立ちも若気の至りも乗り越えた人間にしか持ち得ない、自分に正直に生きながらも他者を受け入れることもできる器の大きさを感じる。

「SIRUPになってから一番意識して変えたのは、前傾姿勢だったライブを、ちょっと重心を後ろにしたことというか。それは、精神的な姿勢として、です。前までは多分、自分を受け入れてもらいたい気持ちのほうがデカかったんですよね。今は、みんなを受け入れることのほうが強くなったのかもしれないです」

そういった意識変化は、私生活と、歌詞にも表れている。きっと、年齢と経験を重ねたゆえの変化でもあるのだろう。KYOtaro時代の曲には、もがいていたり必死に前に進もうとしていたりする姿も描かれていたが、SIRUPでは、肩肘張らずに余裕を持って、自分に嘘をつかず、自分の心にとっての豊かさを大事にしながら生きていくことの心地よさが音と言葉と佇まいで表現されている。それこそが、今の時代を生きる人たちの理想と重なり、多くのリスナーから憧れも含めた眼差しがSIRUPに向けられている理由のひとつだと思う。

「もちろん僕もありのままで生きることへの葛藤はあるんですけど、特にこの国ではみんながそれを抱えていると思うんですよね。お互いが尊重しながら、各々がありのままでいれればいいのになって、本当に思いますね。音楽で問題提起とかはしたくないですけど、日本の生きづらさって、そういうところやなって思うんです。今の僕は、自分を受け入れてほしいから、みんなを受け入れようとしているんだと思う。みんながそうなればすごく楽なのに。戦うべきところは戦うけれど、戦わなくていいところは戦わなくていいですしね。でも、自分がそういう人間になれたのは、SIRUPになってからかもしれないです。だから歌詞で自然に吐き出せているのかも」

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