マック・デマルコのアーティスト哲学「華やかな成功よりも穏やかな気持ちにさせてくれるものを」

マック・デマルコ(Photo by Yana Yatsuk for Rolling Stone)



彼は持てる時間と財産を費やし、自宅をツアーに出る時以外は外に出たくなくなるような快適空間に改造することにした。「埃まみれでクモがうようよしてた」という車2台分のガレージは、質素ながらも機能的な自宅スタジオへと生まれ変わった。「一応防音処理もされてるよ」。彼はそう話す。「あくまで一応だけどね。コントロールブースもない簡易スタジオさ」

それでも、『サラダ・デイズ』を制作したブルックリンの靴箱のようなベッドルームと比べると、環境は飛躍的に改善している。ヴィンテージのマイクやミキシングボードを備えたそのガレージについて、彼は「ガラクタで埋め尽くされてる」と語る。「少し前までは、どっかのガレージセールで見つけたテープマシンで曲を録ったりしてた。でも最近は、どうすればスティーヴ・ミラーの『フライ・ライク・アン・イーグル』みたいなドラムの音を録れるかなんて考えるようになった」

デマルコは音楽業界から適度に距離を置くことを意識し続けている。完成前に作品を他人に聴かせることは滅多にない(「マネージャーにもバンドメンバーにも、彼女にさえ聴かせない」)という彼が、ブルックリンを拠点にするインディーレーベルのCaptured Tracksから発表した作品はどれも高く評価された。最近では作品を自ら徹底的に管理できるよう、自身のレーベルMac’s Record Labelを設立した。

「別に確固たるヴィジョンがあるわけじゃないんだけど、(外野の人間に)クリエイティヴ面で干渉されるのが嫌なんだ。曲をヒットさせるためにあれこれ指図されるのは特に嫌だね」。そう話す彼は、シングル曲はラジオ受けがいいとされるテンポに設定すべきといった先入観を嫌う。「そういうことに囚われたくないんだ。俺は自分が作りたいものを作るし、それが世間に受け入れられたら万々歳だ。そっぽを向かれたら、その時はその時さ」

先月のコーチェラにおいて、比較的小さな砂漠のステージで彼らしいパフォーマンスを披露したデマルコは、その数時間後にヘッドライナーとして登場したテーム・インパラについて触れた。「120億くらいの数のレーザーがステージ上で飛び交ってた」。彼はそう話す。「彼らとは長い付き合いだし、成功ぶりは見てて気持ちがいいよ。でも俺自身は、ああいうのには興味ないんだ」

では何に興味を持っているのかという問いに、彼はこう答えた。「穏やかな気持ちにさせてくれるものを探し出すことかな。どこかにあることは分かってるんだ、あとは見つけられるかどうかさ」



Translated by Masaaki Yoshida

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