ローリング・ストーンズの最新ベストアルバム『Honk』の魅力に迫る

Kevin Westenberg

1971年以降の楽曲に的を絞った選曲から、デイヴ・グロールやエド・シーランをゲストに招いたライブ音源の数々まで、後期の代表曲群、圧倒的なライブ音源等を収録したローリング・ストーンズの最新ベストアルバム『Honk』の魅力に迫る。

ロンドンの片隅で生まれたローリング・ストーンズが「世界最高のロックバンド」と呼ばれるようになってから60年近くが経つが、その間にバンドは20枚以上のベストアルバムを発表している。ベスト中のベストとされる作品(『フォーティ・リックス』『GRRR! ~グレイテスト・ヒッツ 1962-2012』)がバンドの全キャリアを通じた代表曲を網羅しているのに対し、よりユニークな選曲を試みた作品はストーンズの異なる一面を浮かび上がらせる。

元マネージャーであるアレン・クラインが、1964年から1971年の間に発表されたストーンズの楽曲の流通権を手にして以来、バンドのコンピレーションの大半はそれ以外の時期に焦点を当てることを余儀なくされた。最新コンピレーションとなる『Honk』(「ホンキー・トンク・ウィメン」も「カントリー・ホンク」も収録されていないことを考えると、誤解を招きがちなタイトルだと言わざるを得ない)は、バンドが71年以降に発表したアルバムからの楽曲のみを収録しているが、不可解なことにその中には他のベストアルバムに収録されたものも含まれている。3枚組のデラックス・エディションには、2000年代に残された熱気の立ち上るようなライブ音源も収録されている。本作は夏に予定されていたストーンズのツアーと同じタイミングで発表される予定だったが、ミック・ジャガーの健康状態の悪化によって全公演が延期になった今、『Honk』の意義は芯を残したまま時代と共に変化していくバンドの軌跡を描くことだと言っていい。

Translated by Masaaki Yoshida

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