全米でブリトニー・スピアーズの「解放運動(#FreeBritney)」がヒートアップする理由

#FreeBritneyの支持者たちは5月10日、スタンレー・モスク裁判所の前に集合。ブリトニー・スピアーズの後見人の公聴会が行われた(Anthony Harvey/REX/Shutterstock)

全米でブリトニー・スピアーズの「解放運動(#FreeBritney)」がヒートアップしていると言う。ブリトニーは誰かに監禁されている?精神疾患で入院は嘘?ファンによる“ブリトニー運動”はどんなものなのか?ブリトニー・スピアーズに起きている現象を紐解く。

4月22日、約50人のブリトニー・スピアーズファンが、#FreeBritneyと書かれたネオンポスターを掲げ、西ハリウッド市役所の外に集結した。その集会は平和に行われ、集まったメンバーはブリトニーのマーチャンダイズを着用。彼らは全員、彼女のヒットを願っており、ブリトニーに起きている長年の事態について不安に思い、心配していることをメディアに告げた。#FreeBritney 運動の創始者であるTess Barker氏とBarbara Gray氏は、2017年11月にBritney’s Gramと言うタイトルでPodcastを始動した際、このような状況になるとは想像もしなかったことだろう。

Barker氏とGrey氏は、5月10日、#FreeBriteneyのサポーターとともに、ロサンゼルスにあるスタンレー・モスク裁判所の前に集結する。同日、ブリトニーの後見人に関する公聴会が行われるからだ。これに関しては、8月から話が持ち上がっていた。以前の公聴会では、一連のブリトニーの動きに関して、彼女の意思でないものである、と不安視されていた:2008年、裁判所に任命された代理人のSamuel Ingham氏は、彼女と15分間の面会をした際、ブリトニーは物事を1人で判断できる状況ではないと話した。2008年、それらの騒動直後に発刊されたローリングストーン誌における巻頭特集にて、ライターのJenny Eliscu氏は、後見人や弁護士が彼女を「重度の身体障害」と話していることに対し、ブリトニーのことを「自身がしっかりと機能している」と評している。

Britney’s Gramとは何なのか?

もともとBritney’s Gramは2017年、Barker氏とGray氏が、ポップ界の姫の基礎を紐解く場所だった。おとぎ話のようなインターネットミームから、即興のペインティング・セッションまで、Gray氏が愛する内容を纏めたり、Instagramにアップしたりする程度のことであったのだ。

しかしここ数ヶ月の間、事態は豹変し始める:好きなアーティストのInstagram上で、ただリフティングしていただけの2人の行為が、ポップ界のウォーターゲート事件へと雪崩れ込んでしていくのだ。2人は数ヶ月間に渡り、ブリトニーのInstagramや生活に暗雲が立ち込めていく様子に対する仮説や調査を、Podcastを通じて行う。そして彼女たちの元に、匿名で密告者からの電話があったと言う。

ある情報筋は、「あなたたちは、何かに感づいているのでしょう」と伝えた。Barker氏とGray氏は、後見人と関わりのある法律事務所の関係者であることを確認(彼の個人情報を保護するため、匿名としている)。そして4月16日付Britney’s Gramのエピソードにおいて、実際の留守番電話が、Barker氏とGray氏による解説付きで放映された。このエピソードはすでに、SoundCloud上で85000回以上再生されている。

彼らの活動が本格化するきっかけを作ったエピソードが公開される前、Barker氏とGray氏はブリトニーの、保護された生活の様子を、ソーシャルメディアを通して常にチェックしていた。ニューヨーク・タイムズ誌による、彼女に対する保護の縛りが非常に厳しいものであると言う直近のレポートは、ブリトニーから発信されるキャプションやミームに対する見方にも、多大なる影響を与えた。一見無害なキャプションや諺も——ブリトニーが海を見下ろす煉瓦造りの穴の写真を、「いつでも抜け道はある!」と言うキャプションとともに投稿したら——自由への渇望と取ることができてしまう。

「多分彼女は、退屈していると思います」と、Gray氏は語る。「普通の女子高生のような投稿をしていますが、それがブリトニー・スピアーズによる投稿であるが故に、注目されてしまいますから 」

長年のブリトニーのファンは、彼女のソーシャルメディアの存在が新鮮だと感じたことだろう。ブリトニーは2008年1月、5150hold(訳注:自分や他人を傷つける可能性がある人間に出される、カリフォルニア州のコード番号)処置を受けた。そして 父であるJamie Spears氏と、弁護士であるAndrew Wallet氏が、ブリトニーの資産を管理する後見人として裁判所から任命された。そんな過去のイメージから、公に解放されつつある数年間のInstagramは、世界で最も保護されているポップスターの人生を垣間見るチャンスでさえあった。

Translated by Leyna Shibuya

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