ゲイカップルが創業者、音楽レーベル「ワックス・トラックス!」誕生秘話

1992年、ジムとフレッシャーはレーベルをTVTレコーズに売却し、それぞれが個人所有していたレーベルの株も売却した。ジュリアは、事業の破綻について父が後悔しているのを見たことがないという。「あとから考えてみると、父が一度『みんなと契約を結んでおくべきだったな』と言ったことがあったけど、それ以外で父が後悔したことは一つもないと思う」と話す。ジムが病に伏したとき、ジュリアは娘を出産したばかりで、ジムが一番愛する対象はレコード店から孫へと変わった。

1995年にジムが亡くなった後、フレッシャーはレーベルの存続に尽力し、彼らが所有していたシカゴのレコード店も維持しようとした。そんなフレッシャーも最終的には引退してアーカンソー州に引っ越したが、2010年に肺炎によって亡くなった。

フレッシャーの死後、ジュリアは父の人生を紐解こうとアーカンソー州に向かった。フレッシャーはワックス・トラックス!に関連するすべて物品を保管しており、安全を期してひっそりと隠していたのだ。倉庫に足を踏みれてみると、そこにはワックス・トラックス!のレコード店のオリジナルの看板、レーベル後期の契約書類、コイル、ミニストリー、スリル・キル・カルトのレア音源などがあったのである。ジュリアは「あれを発見した時の気持ちを表現できる言葉は今でも思いつかない」と言う。その時の記録映像が、のちにジュリアの父とフレッシャーのレガシーを描くドキュメンタリー映画の発端となったのである。


Courtesy of Wax Trax!

Translated by Miki Nakayama

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE