銃撃犯に立ち向かい亡くなった被害者の追悼集会、議員の演説に抗議デモ起こる

米コロラド州の学校で起きた発砲事件の被害者をしのぶ追悼集会で、抗議の声を上げる学生たち。(Photo by Helen H. Richardson/MediaNews Group/The Denver Post/Getty Images)

アメリカ時間8日夜、米コロラド州で7日に起きた銃撃事件で、生徒2名による銃撃を止めようとして死亡したケンドリック・カスティーヨさんをしのぶ追悼集会が行われた。

事件の現場となった「STEMスクール・ハイランズ・ランチ」には、学生、教師、保護者など、およそ1000人が集まった。狩猟と釣りとロボット工学に熱心だった18歳の少年は、3人の学生とともに襲撃を止めようとして1人だけ命を落とした(負傷者は8名)。

襲撃者から武器を奪おうとした学生の1人ブレンダン・ビアリーさんは、カスティーヨさんが「すぐさま行動を起こし」、襲撃犯が銃を取り出そうとした瞬間に突進したという。「襲撃犯はそこにいて、壁に押し付けられました。いったい何が起きたのかわからなかったようです」と、ビアリーさんはCNNに語った。

カスティーヨさんの父親はのちに報道陣に対し、息子は他の学生を助けるために襲撃者の前に身を投じたのだと語った。

集会では、大統領選に立候補を表明しているマイケル・ベネット上院議員とジェイソン・クロウ共和党議員が登壇し、さらなる銃規制法の必要性を訴えた。この演説をうけ、政治家は集会を自分たちの活動に利用していると非難する声が群衆から起きた。銃規制法の厳格化だけでなく、メンタルヘルス対策も政治の優先課題にするべきだという立場から、「メンタルヘルス」と連呼する者もいた。学生は「ケンドリックの名前を政治目的に悪用するな!」「メディアはくたばれ」など口ぐちに叫び、数人が集会を黙って後にした。

学生たちの抗議は、昨年2月に元学生が17人の生徒を殺害したフロリダ州パークランド高校の学生たちの反応とはまったく対照的だ。パークランド高校の学生たちは、表立った形で反対運動を展開し、「マーチ・フォー・アワ・ライヴス(命の行進)」キャンペーンといった抗議デモを計画したり、より厳格な銃規制法の制定を訴えた。彼らの活動のおかげで国内の銃規制法制化が加速し、昨年だけでも26の州とワシントンDCで67件近い銃規制法が新たに可決された。

STEMハイランズランチ高校の発砲事件では8人の学生が負傷、1人が死亡。20年前のコロンバイン高校の銃乱射事件以来、学校での銃乱射事件はコロラド州で4件目となる。デヴォン・エリクソン容疑者(18歳)とアレック・マッキニー容疑者(16歳)の2名が、事件に関与したとして逮捕された。いずれの容疑者も犯罪歴はないものの、第18地区地方検事局のジョージ・ブロンシュラー検事はCNNに対し、2人とも第1級殺人および殺人未遂の罪で起訴されるだろうと示唆した。

Translated by Akiko Kato

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