[ALEXANDROS]の参謀役、磯部寛之「根源は夢であり、気持ちが大事」

[ALEXANDROS]磯部寛之(Photo by OGATA for Rolling Stone Japan)

「洋平の曲は世界一だ」。大学1年の終わり、初めて川上洋平のデモを聴いた瞬間からその思いに揺らぎはなく、ベーシストとして着実にそれを証明してきた磯部寛之。ロジックやひけらかすような技巧に頼ることなく、天性の感覚から紡ぎ出されるベースラインは、巨大なサウンドスケープを描く[ALEXANDROS]の音楽において非常に重要なファクターと言える。磯部寛之が思う[ALEXANDROS]というバンドについて、メンバーについて、そしてこれまで以上の手応えを感じているという新作『Sleepless in Brooklyn』について語ってもらった。

※この記事は2018年9月25日に発売されたRolling Stone Japan vol.04に掲載されたものです。

いつでも世界に行く準備はできている

ー他誌のインタビューで、この人すごいこと言うなと思ったのは「メンバーの中で[ALEXANDROS]を取り払って、何か残るのは俺が一番薄い」みたいなことをおっしゃってて。今でもそう思いますか?

思いますよ。

ーあらためてどういう部分でそう思うんですか?

[ALEXANDROS]で形成されているからじゃないですかね。

ー自分の人生が、ってことですか?

そうですね。大学1年の終わりくらいに当時[Champagne]というバンドに入って、そこからは本当にバンドのことしか考えてないんですよね。就職活動してサラリーマンをやったりもしましたけど。いろいろ考えることはあったんですが、大学で[Champagne]に入ってから今日に至るまで、すべてはバンドがどう成功するかを考えることに結びついているんです。本当に俺、このバンド以外の経験がないんですよね。初めて組んだバンドで今こういう状況なので。だから、[ALEXANDROS]を取っ払ったときに俺に何が残るのかな?と考えたら、自分の存在意義とかそういうことになってくるとちょっとわからないなって。

ー2012年の[Champagne]時代のインタビューも読んだんですけど、その頃から磯部さんは「洋平の曲は世界一だ」って言い続けていて。どこが世界一だと思いますか?

何でしょうね。本当に感覚というか。単純に好きなんでしょうね。大学の頃、まだ[Champagne]に入る前ですけど、洋平も当時は実家暮らしだったので実家に遊びに行って、「高校のときにこんな曲を作ったんだよ」ってMDか何かを聴かされたときに、すごい衝撃を受けたんですよ。そのときに俺は、“世界一になるんだ”って自分の中で思っちゃって。そういう突発的なきっかけがないと、なかなか入り込めない世界なのかもしれないけど。今でもあいつが新曲を作ってくれる度に思うし。

ー例えば新作の曲で「ここが世界一だな」と思った場所はどこですか?

全曲思っていますよ。

ー歌詞からサウンドから?

そうです。曲が生まれた時点で、俺は本気で思っています。デモテープを作っても作っても売れなかったときから、あいつが書く曲に関しては2001年からいつ世界中でヒットしてもおかしくないと思ってるんです。今でもアルバム曲だろうがシングル曲だろうが、「これをシングルにしよう」という話し合いはもちろんするんですけど、どの曲も今でもそう思っています。

ーそれは磯部さんが個人的に思っていることであって、ほかのメンバーは「どうなんだろう」と思うこともあるんでしょうか。

でも洋平は、メンバーを納得させられないような曲は持ってこないので。

ーすごい信頼関係ですね。

俺が勝手に信頼を置いてるんです。こっちが信頼することであいつが自由に曲を作れることも、バンドにとってプラスに作用すると思っているので。たまたま俺がそういう性格で良かった部分なのかな。そういう意味ではまだ、[ALEXANDROS]は世界的に爆発しているわけではないから悔しいですね。いつでも世界に行く準備はできてるのに。こっちがそういう自信を持つことが大前提として大事だと思ってて。名作って評されて残っていくものだと思うんですよ。作り手側は全部名作でいいんです。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE