[ALEXANDROS]の参謀役、磯部寛之「根源は夢であり、気持ちが大事」


カッコいいものを響かせたいという欲求がある

ー4人の中での磯部さんの役割ってどういう感じなんですか? 川上さんが絶対的な中心であるとして、サポート役とか賑やかし役とかいろいろあると思うんですけど。

うちのバンドで本当にみんな上手いなと思うのは、その状況で役割が変わっても、誰かが誰かを支えるってことは全員が全員に対してやれるんです。だから、俺だけの役割っていうのは特にないのかな。心持ちとしては、クリエイターである洋平がいたときに、優秀な参謀でありたいなとは常々思っています。誰かに伝える際とか、何かをする際に間に入って俺ができることがあればすごく意味があるし。

ー2001年から今日に至るまで、バンドと川上さんに思い入れがある磯部さんにとって『VIP PARTY 2018』は最高の一夜だったのでは。

気持ち良かったですね。最終目標地点ではないので、やっとスタジアムでやれたかっていう感じが強いですけど。目指しているところに対して、進んでいる感覚を得られるのはやっぱり素直にうれしいですよね。感動というか。

ー昔の曲を演奏した後に、今回の新曲をやっていくセットリストもすごいなと思ったんですけど、あらためて昔の曲をやる中で自分たちの変化を感じた部分はありましたか?

逆に変化していないなとも感じましたね。曲の話に戻っちゃうんですけど、「当時からスタジアムでやれる曲ばかりだったじゃん」っていうのが証明されたなって。メロディだったりアレンジも、けっこうきわどいアレンジが多くて。でも最近もそういう曲はやっているし、どちらかというと大きな曲になってきた部分はあるかもしれない。でも、根底にあるものは一緒だから。昔の曲をやったときも、ちゃんと最先端のものとしてできているし。最新の曲はもちろん最新のモードで作っているので。

ー最新のモードって、自分の中でどういうものとして捉えていますか?

個人的には、自分たちの目標に対していよいよ具体的になってきたなと思っているんです。まだまだ到達はしていないけど、例えば世界中のどこでもライブがやりたいとか。世界のドームを埋めたいしスタジアムを埋めたいっていう中で、いろんな国でライブをやるっていうことに関してはちょっとずつ実現しているので。アジア各国に始まり、今度はアメリカにも行くしクアラルンプール(マレーシア)にも初めて行くし。人間ってそういう環境に身をおいて、ちょっとずつ経験を積んでいくと具体的なビジョンになっていくじゃないですか。だから本当にカッコいいものを響かせたいっていう欲がどんどん強くなってきましたね。

ーサウンドのバラエティが豊富になってきているのも、[ALEXANDROS]の変化としてあると思うんです。磯部さんはベーシストとして、メンバーの1人として、どういうふうに見てきましたか?

4人の中で俺が一番音楽のバックヤードがなくて、あまり詳しくないんです。もともとやっていたのは吹奏楽で、高校で初めてエレキと出会って、でも高校ではずっとバスケばかり。で、洋平と出会ってこのバンドに入って、洋平から教えてもらっていろいろ聴くとかそういう感じなんですよね。だから俺にわかることって、[ALEXANDROS]の雰囲気を感じ取って、それをベースに落とし込むことだけなんです。落とし込むことには自信があるんですけど、「これっぽく」ってなったときは素直に自分の頭の中でイメージしたことを弾くんですよ。だから、ジャズっぽく弾いているものを、ジャズをやっている人が弾いたら意味がわからないと思う。でも、それでいいのかなと思ってて。

ーめちゃくちゃ面白いですね。バンド・メンバーの中でギャップもあって、すごくバランスが取れているなと思って。

そうですね。聡泰(庄村)も引き出しが多くて本当に尊敬しているんですけど。引き出しが多くて、どこから何が飛んできても必ずそれを出せるんですよ。逆に俺はポンッて「俺」という引き出しを開けるだけ。裏を返せば何でもできるんですけどね。自分の想像外というものがそもそも存在しないので。

ー自分が想像できるものは、創造できるってことですもんね。最近も川上さんから何か音楽を教えてもらったりしましたか?

教えてもらうというか、あいつはけっこういろいろ聴いてるのでそれを基軸にというか。ヒップホップとかを聴いている気がしますけどね。

ーフランク・オーシャンとか?

それもそうだし、チャンス・ザ・ラッパーも好きだし。いろいろ聴いてるな。いきなりゴリゴリのロックを聴いてたりもしますけど。雑多というか、気分に合わせていろいろ変わりますね。

ーゴリゴリのロックは、今回のアルバムに反映されているのがわかるんですけど、ヒップホップは反映されているものはあまりわからないですね。

本当ですか。大いにあると思いますよ。

ーそれはどの辺に反映されていますか?

グルーヴ感の話になったとき、洋平と聡泰の言葉のキャッチボールを聴いていると、そういうのが根底にあるんだなって。もっとこう横に踊れるような感じとか。そういう単語もよく出てくるし。結果的にアレンジはヒップホップ調にはならないのかもしれないですけど、いたるところに散りばめられてると思います。

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