金正恩が非核化交渉の見返りに「有名バスケットボール選手」を要求していた

金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長(Photo by Uncredited/AP/REX/Shutterstock)

金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は大のバスケットボール好きだ。35歳の北朝鮮の指導者は、マイケル・ジョーダンやシカゴ・ブルズ全盛期の1990年代に生まれ育ち、バスケットボール熱は最高指導者となってからも冷めずにいる。元ブルズのフォワード、デニス・ロッドマンと親交を深め、昨年6月にはドナルド・トランプ大統領との初の首脳会談を前に、リバウンドの名手を北朝鮮へ招いた。「(会談は)かなり上手くいくはずだ。でも、初対面だから期待し過ぎないほうがいい」と、ロッドマンは訪問後に警告した。

アメリカ時間9日、ABCニュースが報じたところでは、金委員長はアメリカに対し、両国の国交正常化のために「有名なバスケットボール選手を」北朝鮮に派遣するよう要請していたという。2人のアメリカ政府職員の話によると、北朝鮮の要請は、今年2月ベトナムのハノイで行われた2回目の米朝首脳会談の前に文書で送られてきたという。さらに北朝鮮は文化交流の一環としての選手派遣を、予定されていた非核化に関する共同声明にも明記するよう求めていたそうだ。

だが、トランプ側が交渉の場から突然撤退したため、結局共同声明は作成されなかった。「時には撤退も必要だ。今回はそうするべきだったと思う」と、帰国するエアフォースワンの機内で行われた記者会見で、大統領はこのように説明した。

交渉決裂にも関わらず、トランプ大統領は金委員長との関係をアピールし続けている。「興味深い今の世の中では、どんなことも起こりうる。だが私は、金正恩が北朝鮮の大きな潜在的経済力を完全に実現すると信じている。これを妨害、あるいは頓挫させる真似は絶対にしないだろう」と先週ツイートした。「彼はまた、私が味方であることも知っている。約束を反故にはしたくないはずだ。交渉合意は必ず実現する!」

Translated by Akiko Kato

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