ウッドストック50周年フェス中止を巡り、主催者と電通がドロ沼化

ラングは、「あいた口が塞がらない、ルール違反とも言える(電通の)一連の所業」が、ひいてはフェスティバルの従業員、ファン、ニューヨーク州ワトキンスグレンの地元コミュニティにすら大きな影響を与えることになると懸念を示す。しかし、ラングは資金繰りが可能になる「新たな関心」の存在を示唆しながら、このような障害をものともせずに、今後は自身の関与の度合いを高めて開催に向けて前進するため、「ウッドストック50の計画通りの開催に自信を持ち続けている」と、決して諦めないようだ。

「私たちが貴社に望むことは、法を順守し、貴社が果たすべき義務を果たすことだけで、この素晴らしいイベントを実現しようとする私たちへの妨害をやめて、不適切に引き揚げた1700万ドルを返金してほしい。電通が思い描いたほどの利益を得られないとわかって、ウッドストックへの関与をやめる貴社の決断は尊重するが、だからといって50周年記念という特別なイベントを貴社なしでは開催させないために、ウッドストック自体を窒息死させる所業は、運営面の修正を主張する私たちだけでなく、ウッドストック50の関連各社を困惑させている」というのが、ラングの主張だ。

電通がウッドストック50の中止を発表した数日後に、制作パートナーのスーパーフライがイベントへの関与を取りやめた。このニュースを受けて、イベント業界で20年の経験を持つある関係者は、スーパーフライのこの決断は「終焉の前兆」であり、「破滅的な」一撃だとローリングストーン誌に語った。この関係者は「フェスティバル好きにはスーパーフライがウッドストック50に不信感を持っているのがはっきりとわかる。この状況からどう復活するのか私にはわからないが、(復活は)不可能だと思う」と断言した。

3月のフェスティバル開催発表の記者会見に同席したジョン・フォガティは、初期段階でフェスティバルに対する懸念があったことをローリングストーン誌に明らかにした。「彼らはチケット情報の公開を延期した。しばらく前に彼らが許可を得ていないという記事を読んだ記憶もある。これを知って驚いたよ。常識的に考えても、最初に行うことが諸々の許可申請で、最後にやることじゃない。一事が万事そんなふうで、最初からこのフェスティバルにはそこかしこに不安定さが顕在していた。でもね、最初のウッドストックは、素晴らしい主催者やその努力ではなくて、みんなの『開催したい』という気持ちが一番の力になって実現したんだよ」と、フォガティーは言った。


Translated by Miki Nakayama

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