ボズ・スキャッグス来日公演、東京公演初日は代表曲のオンパレード

東京公演初日のボズ・スキャッグス(Photo by Masanori Doi)

現在、来日ツアー中のボズ・スキャッグス。5月7日に渋谷・Bunkamuraオーチャードホールで開催された、東京公演初日のレポートと写真が到着した。

ザ・ヴォイス・オブAOR、ボズ・スキャッグスの4年ぶりとなるジャパン・ツアーから、5月7日の東京公演初日を観てきた。<Out Of The Blues Japan Tour>と銘打たれた今回は、5月5日の仙台に始まり、7日〜9日までの東京(ソールドアウト!)、11日の大阪、13日の広島、14日の名古屋と、合計7本に及ぶホール・ツアーとなっている。ボズは1978年以降20回ほどの来日経験があるが、AOR全盛期の日本での人気具合はともかく、2000年代の一時期はジャズ、ブルースに特化したスタイルで3〜400人規模のジャズクラブで演奏することもあった(もちろんファンは大喜び)。2008年に行ったTOTOとのジョイント・ツアー以降は再びホール公演が行われるようになり、さらに東京ではソールドアウトが続出していて、ボズの相変わらずの人気ぶりが窺える。

渋谷にあるBunkamuraオーチャードホールに集まったお客さんたちの年齢層は、はっきり言ってかなり高い。70年代末から日本で爆発的に流行ったAORミュージックで青春を謳歌した人たちが、皆それぞれに40年という年輪を刻んでから再会したというイメージだろうか。特に女性ファンの来場が目立った。元々クラシック、オペラ専門だったオーチャードホールでポピュラー音楽のコンサートが開かれるようになってから久しいが、演者と観客と会場が絶妙にマッチしたこの完全アダルトな雰囲気の公演は、10年ほど前に行われたキャロル・キングのコンサートをほうふつとさせた。50代の自分が若造に見えたのは、久しぶりの感覚だ(誤解のないように言いますが会場には20代〜と思しき若者たちもたくさん来ていましたよ。あくまでも比率の問題です)。

若造で想い出すのが、1978年に行われたボズの初来日公演のこと。まだAORという言葉もブルーアイド・ソウルなんて言葉もほとんど聞かれなかった当時、全米TOP40オタクだった私は“最高にカッコイイ男”の象徴だったボズの来日情報を聞いていてもたってもいられず、チケットを購入すべく青山にある某イベンター本社前に徹夜で並んだ。当時は“良い席を確保するには徹夜で並ぶ”ことが流行っていて、結構大勢の人が寒空の下で翌朝のチケット販売開始を待っていた。たしか同じ日にELO(エレクトリック・ライト・オーケストラ)の初来日公演チケットも発売されたので、高校生だった私は両方のS席を買うほどお金を持っておらず泣く泣くボズのB席(2000円!)を購入した。徹夜して確保した武道館の2階席後方は見晴らしも良く(はい、やせ我慢してます)、オペラグラス越しに観たボズの歌う姿は一生忘れられない宝ものになった。この時も自分のまわりは年上の大人ばかりで、隣の席にいたカップルから「きみ高校生なの?渋いね〜」と言われてしまい、嬉しいやら悲しいやら……妙な想い出が残った。

その後も武道館や代々木体育館、東京ドームといった会場で行われたソロ・ライヴやイヴェントに足しげく通いながら、その都度感じたのは“毎回その時がベスト・ライヴ”だということ。時代が変わればメンバーもアレンジも変わるし、我々ファンもそれなりに年を重ねていき、勢いのある演奏を好む時もあれば、落ち着いた雰囲気に浸りたいと思う時もある。そんなファン心理とボズの音楽の志向性がシンクロするかのように、彼のライヴはいろいろな景色を見せてくれた。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE