[ALEXANDROS]川上洋平の信念 「世界一のロックスターになる」という途方もない夢


「まだまだ、道の途中なんだ」という気づき

ー秋にはその新曲が収録されたアルバム『Sleepless in Brooklyn』がリリースになることが発表されましたね。先に何曲か新曲の素材を聴かせていただきましたが、「アルペジオ」も「Your Song」も、本当に素晴らしい楽曲で。これ、お世辞でもなんでもなく最高傑作になりそうですね。

まだ、最終調整中なので完成しないとなんとも言えないですけどね。でも、今の時点で既に作ってる自分たちすら興奮するような曲やサウンドができてきているんで、期待に応えて、想像を超えるアルバムになってるんじゃないかと思います。

ー「新次元」や「異次元」という言葉が相応しいものなんじゃないかと思います。それでいて、ロックンロールの新たなワールド・スタンダードを立ち上げている楽曲ばかりな気がします。

今回、東京ではなくニューヨークで楽曲を作っていたので、それが影響しているんじゃないかな。別の世界・次元の音が鳴ってるなって自分でも思いますね。洋楽しか聴いてこなかった自分が、一人のリスナーとして聴いても大丈夫なサウンドを作ろうというのは、ずっと考えていましたね。

ーロンドンやベルリンあるいは、アメリカの中でもロサンゼルスやシカゴではなくて、敢えてニューヨークという場所にした理由はあるんですか? 

確かに「ロサンゼルスのほうがいいんじゃない? 盛り上がってるよ」って言われたりもして、考えたんですけど。ロックンロールが盛んな西海岸みたいな土地柄だと、影響されすぎてしまう気がして。それよりは、ジャンルレスに音楽が盛んな場所で作ってみたいなって思ったんですよ。ニューヨークはいろんなジャンルの音楽が共存しつつも、滞ってたり、過激に進化してたりって感じが面白いなーって。

ーでも、洋楽オリエンテッドというか「まんま」のサウンドではないですよね。先鋭さと、ポップネスみたいなものが同居しているなと思いました。既に出た「KABUTO」や「Mosquito Bite」とかもそうですけど。

確かに、それに関しては特に意識しましたね。「Mosquito Bite」は、ブログにも書きましたけど、リフの感じはもっとファンク寄りだったんですよ。でも、バンドで合わせたらしっくりこなくて。ロックンロールの定型のようなリズムやビートに乗せたら、ロイヤル・ブラッドやクイーンズ・オブ・ザ・ストーンエイジのようなムードが出てきたんです。サウンドはささくれてるけどハード・ロックではなく、リフが立ちすぎてるわけでもなく、スタイリッシュなところはきちんと残っている曲……感覚的な部分なので説明するのはすごく難しいんですけど(笑)。

ー確かにロックンロールなんだけど、ガレージやパンクの雰囲気もあって。でも、グルーヴはあるという曲です。「Mosquito Bite」は英語詞ですけど、今回のアルバム、日本語詞の楽曲も多くなりそうですね。海外での成功を目標として掲げているバンドとしては意欲的な挑戦だと思うんですが。

川上 海外でレコーディングをしてみて、気がついたんですけど、やっぱり僕らがこれまで日本で培ったこととか、個性は消しちゃいけないなって思ったんです。俺、実はくるりやはっぴいえんどやユーミンがすごく好きで。ああいう日本的なオリエンタリズムやオリジナリティを持ち合わせながら、普遍的な楽曲や構成やメロディ・ラインを持つ音楽家って、常々尊敬していて。自分もそういう部分をしっかり出していかないといけないなって思ったんです。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE