ステラ・ドネリーが語るMeToo時代のユーモア「失恋や惨めさに呑み込まれることはない」

ステラ・ドネリー(Photo by Molly Matalon for Rolling Stone)



こんなに開けっぴろげな作風でなければ良かったのに、と思うことも時々あるというが、それこそが多くのリスナーを魅了した彼女の曲の感情的な深さなのだろう。「Watching Telly」では、自身の中絶経験について振り返っている。終わってしまった恋愛について歌う「Allergies」では、レコーディングの最中に泣いてしまったという。「Allergies」について彼女は、「その経験から回復する心の余裕や時間がなかったの」と語っている。「デモ版は当時の生々しい感情を湛えていた」。それでも、ドネリーはしばしば重い問題を軽いタッチで仕上げる。「失恋や惨めさに呑み込まれることはないわ、人生は楽しいものでもあるから」。

ドネリーに新しいアルバムについて聞くと、携帯電話を取り出して自身のSpotifyからアーティスト名を挙げた。ベター・オブリヴィオン・コミュニティー・センターミツキ、オルダス・ハーディング、それからドネリーの小粋な「Tricks」MVを共同監督したオーストラリア人シンガーソングライター、ジュリア・ジャックリンだ。これはアルバム中でも傑出した出来の作品で、そのMVではドネリーが日常生活(植物に水への水やり、食事、散歩)を送る中で、ある男性が彼女の気を引こうとするが失敗する。「彼が実は私の想像力の一部だったのか、それとも本物だったのか、みんなに考えさせたかったの」と彼女は言う。「すごく楽しかったわ」



ドネリーが『Beware of the Dogs』で取り組んでいるテーマが、別のアルバムを仕上げる頃まで彼女に影響を与えていなければ、それを蒸し返すことはないだろう、と彼女は言う。「私には影響しなくても他の人には影響するもので、表現しなくてはいけないものはたくさんあるわ」と彼女は言う。また、インスピレーションは必ずしも内側から来る必要はないとも語る。「それについてはJulia Jacklinと話していたの。女性アーティストの曲はすべてが日記のようなものだって(みんなは考える)。でも男性であれば、何かを言い逃げしても、『なんて素晴らしいストーリーテラーなんだ!』みたいな扱いになる」

11月にツアーを終えたあと、ドネリーは22歳のときから住んでいるフレマントルに帰る。「あそこは物事を振り返って、手放すのにぴったりの聖域なの」と彼女は言う。「パジャマで近所の店まで歩いて行けて、誰も気にしない。気楽なのよ」。




ステラ・ドネリー
『Beware of the Dogs』
Secretly Canadian / ビッグ・ナッシング
発売中
詳細:http://bignothing.net/stelladonnelly.html

FUJI ROCK FESTIVAL’19
期間:2019年7月26日(金)27日(土)28日(日)
会場:新潟県 湯沢町 苗場スキー場
※ステラ・ドネリーは28日(日)出演。
オフィシャルサイト:
http://www.fujirockfestival.com

Translated by Chihiro Sato

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