GLAY・TAKUROがスティーヴ・ルカサーと対面「音楽の世界で自分たちらしくあるために」

左からスティーヴ・ルカサー、GLAY・TAKURO(Photo by Hikaru Hagiwara)



―2人が「自分の音はこれだ!」というのを見つけたのは、いつ、どんな時でしたか?

LUKE:俺は、依然としてそれを探しているよ。今も家に帰れば練習している。こんなことを言うのはトレンディじゃないのは承知の上だけど、俺は今も生徒のようなものだよ。習得には程遠いと思う。学ぶべき本をたくさん持っているし、実は若い連中も聴く。スナーキー・パピーという素晴らしいバンドがいるが、ギター・プレイヤーはマーク・ラッティエリで、彼らが本を出したと言ったから、俺はすぐに手に入れた。妹に注文してもらって俺の家に2日間後に来た。Amazonでね(笑)。それがインスピレーションを受ける1冊なんだよ。俺はそういうバンドを聴くんだ。素晴らしいミュージシャンシップが大好きだし、そういうものに触れると「希望がある!」と実感できるんだ。わかるかい? 万人向けのポップ・ミュージックではないかもしれない。だが、老いたミュージシャンとしては、あれほど上手い若者たちがやるものを聴くのはすごくエキサイティングなことだし、謙虚な気持ちにもなるんだ。「わぁ!」と思ってしまう。音楽というのは非常にパーソナルなものなんだよ。1人の人間のものだ。全員が全部を大好きになる、というものではない。それが人生を興味深いものにしているんだと思う。

TAKURO:すべて言われてしまいましたね。僕にはもう何も言えませんよ(笑)。僕ももちろん、まだ自分の音というのを探し続けていますよ。

LUKE:ミュージシャンというのは、ある朝、目を覚まして「俺は素晴らしい! もう努力は必要ない!」なんて決して思ったりしないものだからね。俺は、毎晩同じものをコピーし続けたいとは思わない人間なんだ。自分でデザインしたものなら毎晩同じものをプレイする。音楽にはそういう面もあるよ。ああいうふうにプレイしてもらいたい、と求められることもあれば、こういうのを聴きたいのは分かってるけど自分としては……と思う部分もある。だが、自分自身が成長しながら、あれこれと試せる場所というのを持っていなくてはいけない。俺の決めたルールは、「いつも自分より上手いミュージシャンと一緒にプレイしろ」というものだよ。そうすれば成長する。

TAKURO:僕も自分の部屋で毎日ギターの練習をしているんですけど、その様子を息子がいつも見ているんです。

LUKE:息子さんはいくつなんだい?

TAKURO: 7歳です。

LUKE:俺の息子がどうやってギターを弾けるようになったと思う? 俺がギターをやったんだが、ドロップDにチューニングして渡したんだよ。それを小さなマーシャルに繋いで、これがピックだ、おまえの指をこうやって使うんだ、と教えたんだ。そして、「ああ、合ってる合ってる。いいぞ」となったんだ。彼はドラムをプレイしている。子どもというのは誰でも何かを叩きまくることから始めるものさ(笑)。で、俺は息子に言ったんだ。自分の部屋に行け、3日後にお前が書いた最初の曲を持ってこい、とね。自分の耳に良いと思えるものを書け。馬鹿げたテクニックを使え、と。音楽を学ぼうとしている子どもたちに数学の授業みたいなやり方で教えようとするやつらが大勢いる。そんなのが楽しいはずもない。子どもに教えるんだったら、すぐに音楽を書かせるんだよ。そうすれば、まずエキサイトする。そうなってから、チューニングの仕方を教えるんだよ。こういう仕組みになっているんだぞ、とね。

何かを習得する前に、インスパイアされる必要があるんだよ。最初から天才レベルのことなんて期待しちゃいけない(笑)。そうだろ? そして俺は子どもたちを引きずり込んだ。俺の子どもたちは、スタジオのカウチで寝泊まりしながら育ったよ。毎日だ。俺と住んでいたからね、幼い頃は。だから俺が彼らを引きずり込んだんだ。そしてそのうち興味が芽生えた。とはいえさっきも話したように、息子にはそれが効いたけど、娘は効力がなかったわけだ(笑)。

TAKURO:なるほど。7歳の息子が僕に、「パパ、ステージの上で演奏する時にナーバスになる?」と訊いてきたんですよ。それに対して「もちろんなるよ、どのステージでも、毎晩、ものすごくナーバスになるよ」と答えたら、息子は「アドバイスをあげるよ」と言うんです。「ステージの上では練習している時のように弾いて、練習している時はステージに立っているようにプレイすればいいんだよ」と。

LUKE:ビューティフル! その発想は7歳のレベルを遙かに超えているよ。年齢以上に魂が成熟している。俺の息子も、実年齢よりも遙かに冷静だし、遙かに賢いし、遙かに落ち着いているよ。むしろ俺よりもね。だからよく「パパ、落ち着いて!」と言われる(笑)。リラックスしなよ、いつも考え過ぎだよ、とね。俺はこれまで、たくさん悪口も言われてきた。「おまえは疑うまでもなく最低で最悪だ」みたいなレビューを書かれたりすることもあった。「いったいどうしたんだ?」と言いたくなるよ。俺はただ、ベストを尽くしているだけだ。だけど、生きていくためにはパンチの受け方も学ばなくてはいけない。誰かにジャッジされている、という感覚が人をナーバスにさせるんだよ。

顕微鏡の下に置かれて、わずかなミスをしても、ちょっと転んだだけでも許されない。なかには何らかの理由でただただ嫌いだ、というやつらもいる。なんとか俺たちを酷い目に遭わせてイメージを悪化させるための計画を練ってたりするような連中もね。そういったことに、いちいちナーバスになるんだよ。ただ音楽をプレイするだけじゃなくてね。音楽をプレイするのは楽しいことだ。ただ、そこで、何故やりたいのかという理由も、そのための能力というのも必要になってくる。だから「みんなは俺がやっていることを気に入っているだろうか? 俺は十分に上手いんだろうか?」と考える。そういうことを考えながら生きていくんだ。それって本当にぞっとするような、奇妙な妄想だよ。それが頭の中を過ぎるんだ。いつも自分を証明しなくてはいけない。毎日の日課のようにね。ほとんどの人たちはそんなことをする必要もないまま生きているのに。

TAKURO:うーん、そうですね。自分の人生の証明、というか……。

LUKE:心理的に頭と魂を痛めつけようとするやつらがいる。なにしろ見ず知らずの誰かから、お前が嫌いだと言われるんだから。お前のプレイが嫌いだ、お前の髪型が嫌いだ、お前の靴が嫌いだ、とね。それがどんな音楽の作り手にも起こるんだ。しかもソーシャルメディアは、それをものすごい倍率で肥大させ、悪化させていくだけ。安っぽい判断を真に受けて、「これはクールじゃない」と考える人々がいるからね。


Photo by Hikaru Hagiwara

TAKURO:僕はまったくそういった雑音をチェックせずにいますよ。

LUKE:ああ。俺自身もそれはとうに止めている。残念なことに、俺には酒を飲み過ぎ、自分で馬鹿なことをしでかしていた闇の時代がある。俺はそれをとても恥ずかしく思っている。穴があったら入りたいほどだ。そして、自分について何か書かれているのを目の当たりにするんだ。25万人が、俺のことを最悪だと言っている。俺が何十年も前にやったことを、まるで昨日の出来事のように扱いながらね。フェアなことじゃないよ。想像してみてくれよ。人生でいちばん愚かなことをしでかして、それを万人がテレビ画面で見ていて、「おい、あの馬鹿を見ろよ!」と言って娯楽にしているんだよ。これは普通の人生ではないよ。おかしな話だ。

TAKURO:僕はあなたの目にどう見えていますか? 大丈夫ですかね?(笑)

LUKE:君のルックスは最高だよ。今の話は、誰にでも当て嵌まる例として挙げたんだ。誰にでも起こり得ることだ。キミが目の前に座っているからキミのほうを差して言っただけのことでね。実際、俺の人生はそんなことばかりの連続だった。だから、身をもって知っているんだ。



<INFORMATION>


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Translated by Kazumi Someya

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