GLAY・TAKUROがスティーヴ・ルカサーと対面「音楽の世界で自分たちらしくあるために」

TAKURO:僕は今、実はロサンゼルスに住んでいるんです、家族とともに。そして僕は毎朝、子供たちを学校に送っていく時にラジオを聴くんですが……。

LUKE:……ところで「shit」って日本語で何と言うんだい?(笑)。ラジオでかかるのが全部shitというわけじゃないよ(笑)。ただ、俺はもう年寄りだからな。キッズの音楽は好きにはならないことになってる。言いたいことはわかるだろ?

TAKURO:聴こえてくるのはギターが入っていない音楽ばかりで……なんだかちょっと悲しくなってしまいます。

LUKE:いや、戻って来つつあるよ、そういう音楽も。俺の息子のトレヴとマイク・ポーカロの息子のサム、そしてワン・ダイレクションのバンドのドラマーがZFGというバンドをやっているんだ。素晴らしいシンガーと一緒にね。えっと、名前はジュールス(Jules Galli)だったかな。彼らはレコードを出したばかりで、ビルボードなんかのチャートでもトップ30に喰い込んだよ。音楽的には、ハード・ロック・バンドを従えたアース・ウィンド・アンド・ファイアーとでもいう感じかな。

TAKURO:それは良いニュースですね。でも、本当にときどき悲しくなるんですよ。

LUKE:戻ってくるよ。振り子って知ってるだろ? あれと同じで、揺れてまた戻ってくるものなんだ。

TAKURO:なるほど、そういうものですか。


Photo by Hikaru Hagiwara

LUKE:特定のサブ・ジャンルというのがある。EDMだったり、ポップ・ミュージックだったり、ラップ・ミュージックといったものが常にね。メタルもそのひとつだ。で、それが何だろうと、人々はギターが聴こえないのを寂しく思っているよ。その証拠に、俺のバンド、TOTOのライブには、一時よりもずっと若い聴衆が来るようになっているんだ。みんな、観に来たいんだよ。「わあ、あの年寄りたちを見てみろよ、本物の楽器を演奏してるぜ!」という感じで興奮していてね。たとえばこの前、12月と1月にオーストラリアでフェスティバルに出たんだ。客層は18歳から24歳までのキッズが中心で、俺たちの前に登場したやつらは、揃いも揃ってラッパーやらEDMやら機械的な音楽ばかりで、ただボタンを押すだけの演奏をしていた。プロ・ツールスに前もってレコーディングされているからだ。そんななかで俺たちが出ていって演奏したら、オーディエンスは熱狂していたよ。彼らは俺たちがやるような本物のライブ演奏を観たことがなかったからだ。逆に俺たちも圧倒されたよ。なにしろ「ギャーッ!」と叫ばれるんだからね、若いオーディエンスに。「こいつら、俺たちに対して熱狂してるのか? こっちは年寄りの集まりだぞ!」という感じだった(笑)。あの経験はすごく励みになったよ。

要するに今の若い世代は慣れていないだけなんだよ。俺たちは実際にステージの上で演奏して、正真正銘のジャムをしていて、毎回同じことを繰り返すわけでもない。即興演奏もするし、時にはアクシデントも起こる。だけど俺たちは、きわめて高いミュージシャンシップのおかげで、どこにでも進んでいけるんだ。

TAKURO:ええ。

LUKE:つまり俺たちは今でも、いわゆるロックンロール・バンドなんだよ。実際にショウに来れば、それ以上のものがあるんだ。

Translated by Kazumi Someya

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