石川さゆりが語る、若者や世界に伝えたい日本の音楽「民謡はロックと対峙しても揺るがない」

—BOØWYは88年4月がラストコンサートですので、30年ほど前ですね。

その頃って私こどもが生まれたばっかりで、子育ても忙しいし歌のお仕事も今より忙しくて。だって、今より音楽番組もありましたからね。今は音楽番組も随分減ってしまったし、私も子育ても終えたし、離婚もしましたし(笑)。

—離婚なさっていたんですか?全然知りませんでした・・・

平成が始まって最初に離婚した芸能人が私ですから。あら、何の話でしたっけ(笑)?

—布袋さんとの出会いの話です(笑)。

そうそう。だから、本当に失礼なんですけど、あんまり布袋さんのことを存じ上げなくて。で、去年の日本ツアーの時に、亀田さんから「布袋さんのライブに僕行くんだけど、行ってみません?」って言われて、「行ってみたいな。聴いてみたいな」って一緒に連れて行ってもらったのが最初です。

―布袋さんのライブはいかがでしたか?

ライブを見てカッコいいな、素敵だなと思いながらも、ロックな派手な人、怖い感じの人を勝手に想像していたんですが、お会いしたら、お人柄も紳士だし、音楽に向かう姿勢もとっても真面目だし。それで「この方とだったらおもしろいコラボレーションができるかな」と、感じて、ご一緒していただきました。



―ただ、日本を代表するロックギタリストと民謡とのコラボはハレーションを起こしてしまう可能性もあったのでは?

中途半端な歌謡曲とロックを組み合わせたらハレーションを起こすし、曲が布袋さんのギターに負けちゃうんと思うんですけど、民謡には、民謡っていう響きだけで「古臭い!」って言われがち、ものすごくアヴァンギャルドな部分やエネルギーがあるんですね。だから負けないんです。それは日本人の生活だから。そして、そこに立ち向かっていただくには、布袋さんに限らず参加したミュージシャンはエネルギーが必要とされたはずで、それがおもしろいなぁと感じていました。

―長い歳月の中で、人々の生活を積み重ねてきた民謡はロックと対峙しても揺るがないと?

絶対に揺るがない。そのエネルギーのぶつかり合いと、それでも揺るがない民謡の強さが良かったんじゃないかなぁって思っています。それと、去年の紅白歌合戦の「天城越え」の時そうですけど、十分に楽しんでいただける音楽スペースが布袋さんにちゃんとあったのも「ソーラン節」がハレーションを起こさなかった理由ですね。

しかも、ハレーションをおこなさないどころか、布袋印がちゃんと足跡残していただけと思うんです。私は布袋さんのにわかな音楽ファンですけれど、素敵だなと思うものは時間をかけても、瞬間でも同じだと思う。「これが布袋さんの素敵なところなのかな」って私も感じたものはこのアルバムの中にしっかりと自分の杭として打っていってくださった。そのことに感謝しています。

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