ウッドストック50周年記念フェス、制作パートナーも撤退で開催は壊滅的

オリジナルのウッドストックの発起人の一人でウッドストック50の主催者であるマイケル・ラングは、電通に対して反撃を繰り返している。4月30日に、同イベントのチケット購買者に向けたニュースレターでフェスティバルの実現を誓った。このニュースレターには「(資金提供者の電通イージスが)このように私たちを間接的に攻撃してフェスティバルの開催を阻む理由が理解できない。これは彼らにとってベストな方向性という一方的な決断だろうが、我々のことを一切考慮しないのは如何なものか。ウッドストックは電通の所有物ではないのだから、彼らにはフェスティバルの中止を宣言する権利などない」と書かれていた。

同じ日にウッドストック50の弁護士からも声明が出された。弁護士マーク・カソーウィッツの名義で出された同声明には、「この声明によってウッドストック50は計画通り進行し、実現することを確認する。電通は法的にフェスティバルの中止を宣言する権利も能力も有していない。出演者も含むこのフェスティバルの利害関係者たちは全員、このイベントが計画通りに開催されるという認識のもとに今後の作業を行わなければならない。不明点があれば当方に直接問い合わせるべきである」と書かれてあった。

ラングとフェスティバルの弁護士から出された声明へのコメントを電通に求めたが、電通の代理人はコメントを辞退した。

前出のイベント関係者は「マイケル・ラングはアメリカ文化に深く根付いた不屈のブランドを生み出した。それがどうしてこんなふうになったのだ?」と不思議がる。

このフェスティバルの最初のトラブルは4月5日に、ブラック・キーズがスケジュールの都合でフェスティバル不参加を決めたことだった。前出のイベント関係者は「彼らのマネージャーたちは非常に賢いので、それなりの理由がない限りは約束を反故にしない。そんな彼らだから、ブッキングのミスが原因とは思えないし、他の用事があるから出演できない程度の理由ではないはずだ。もっと根深い何かが起きたと考えられる」と説明する。その後、4月21日に主催者側はチケット販売を延期すると発表した。

今回のウッドストック50の一件は、全く同じとは言わないが、大失敗したファイア・フェスティバルに通じるものを感じると、件のイベント関係者は強調して、次のように語った。「ファイア・フェスティバルはあまりにもクレージーな話だが、みんなが見逃している点は、あれはあれで上手く行った点だ。つまり、ビリー・マクファーランドはチケットを売りさばいたし、飛行機やバスに観客を乗せて会場まで連れて行った。一方、ウッドストック50はそこまで到達できないはずだ」

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スーパーフライは1996年に創業し、ニューヨーク、サンフランシスコ、シカゴに事務所を構えている。ボナルーとアウトサイド・ランズを共同で制作しており、これまでもグレート・グーガムーガ、ライフ・イズ・グッドなどのイベントを手がけてきた。2017年のボナルーは前年の観客数4万5000人を大きく上回る6万5000人を集客し、ナッシュビルシーン紙によると同フェスティバルの10年間の平均観客数は年間7万5000人である。

Translated by Miki Nakayama

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