Juke/Footwork〜暗黒ハウスgqomまで、ケンモチヒデフミがゲストとディープに解説

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次に、JukeFootworkの高速ビートをAKAIのパッドを叩いて演奏するスタイルでシーンを沸かすKΣITOがゲストで登場した。フィンガードラムでJukeFootworkのライブをするのは、KΣITOの他にはほとんどいないという。

その後、トラックメイキングという視点からJukeFootworkを捉えてみようとトークが始まった。KΣITOはBPM160という決まった中で、一小節より短い範囲でリズムが自由に移り変わっていく可能性の広さが魅力とし、パッドを使って実演しながらその解説が行われた。

KΣITOの華麗な手さばきに観客が盛り上がる中、4連符から3連符へ、はたまた2拍子へとめくるめく変化をしていくことを、Kenmochiが4連符は「しながわ」、3連符が「たばた」だと、わかりやすく解説を入れていった。

そして、トークはgqom(ゴム)という新しいジャンルへと話題が変わっていく。イベント当日が平成最後の4月30日だったこともあり、まず初めにKΣITOが令和発表の日に作った「令和gqom」が流れると、Kenmochiが「新しい魔界の扉が開かれましたね!」とコメントし、会場は笑いに包まれた。



gqomとは、2015、6年頃南アフリカのダーバンで暗黒ハウスとして始まったジャンル。マイナー調であったり裏でドローンがなったりという暗い音楽なので暗黒ハウスと呼ばれる。暗い音楽が流行ったことのない南アフリカなのにも関わらず、今現地のクラブではgqomが常に掛かり続けているらしい。

KΣITOは、ダーバンで局所的にかかっていた暗黒的な空気が、pop化し南アフリカから世界中に広がっていることを、JukeFootworkの広がり方と似ている事などを指摘し、これからもそのような現象が各地で起こっていくかもしれないと語った。 

Kenmochiは、その影響を受け、xiangyu(シャンユー)に楽曲提供した「プーパッポンカリー」を和製gqomとして作ったという。又、KΣITOは、TYO GQOM(トーキョーゴム)というイベントも先駆けて開いている。是非、2つともチェックしてみてはいかがだろう。



その後Akiocam、Keita Kawakamiも登壇し、平成令和トークと題して、各自が今興味のある音楽ジャンルを紹介しあった。

Akiocamは、デトロイトのElectroを挙げ、Juke/Footworkとの関わり合いの歴史を語った。KΣITOは映画音楽サウンドトラックを挙げ、その独自の進化を自身の音楽制作に組み込んでいると語り、最近購入したプリセットを紹介した。Keita KawakamiはDaedelusのCurtains Don’t Talkを挙げJukeの可能性の広さを語り、Kenmochiはタンザニアのシンゲリを紹介した。

イベント最後の質問コーナーは、30分に渡って現在のクラブの現状や、楽曲制作に至るまで様々な質問が飛び交った。この時間はまるで本イベントの盛り上がりを表しているかのようであった。

現在、世界中から新しいジャンルが生まれ続けている。Kenmochi Hidefumiは最先端でその流れをミックスし進化を続けていると言えるだろう。

Juke/Footworkやgqomなどルーツとなった音楽を探りつつ、是非新しいアルバム『沸騰 沸く ~FOOTWORK~』をチェックしてみてはいかがだろうか。(text by 横澤魁人)



<リリース情報>



Kenmochi Hidefumi
『沸騰 沸く ~FOOTWORK~』
発売日:2019年5月15日(水)
価格:2000円+税

=収録曲=
1. Aesop
2. BabyJaket
3. RoboCop
4. Jaburo
5. Fish Sausage
6. Mountain Dew
7. Hippopotamus
8. Fight Club
9. Hacienda
10. Tiger Balm

<イベント情報>

TOWER RECORDS 渋谷店 × WOMB LIVE 宇宙塔 vol.1
2019年5月29日(水)WOMB
時間:OPEN 19:30 / START 20:00
料金:DOOR 3000円(include 1DRINK)
出演:ケンモチヒデフミ、Frasco

Rolling Stone Japan 編集部

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