ニルヴァーナとともに生きたメンバー、家族、友人が語る、カート・コバーンへの賛辞

クリス・コーネル(サウンドガーデン)
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Jag Gundu/Getty Images
ロックの本来あるべき形

俺のニルヴァーナについての最初の記憶は、最終的に『ブリーチ』になるデモテープをもらった時のものだ。みんなの反応はすばらしいバンドですごい曲だというものだった。それはアメリカの北西部には疑いようのない特別なものがあることを示唆するものでもあった。

スリー・ピースのバンドがあんなサウンドを生み出せるということを目の当たりにするのは相当衝撃的なことだったし、「フロイド・ザ・バーバー」みたいな曲を作るやつの頭の中がどうなっているか知りたかった。あんな曲の核心となるアイデアはどこから来るのかって。

シアトルのシーンはMTVカルチャーによるものが大きく、ニルヴァーナの見え方や見せ方のおかげで世界中の支持を得るようになった。ロックの世界は、35歳の男たちがヘリコプターでステージに下りてきたり、スーパーモデルと付き合ったり、あえてファンと距離を置くような、快楽主義的なものになっていた。ニルヴァーナは、高校の時の同級生ぐらいの普通の雰囲気でありながら、他のどのバンドよりもはるかにロックしていたし、高いオリジナリティを持っていた。それが彼らの秘密だったんだと思う。それが長い間見過ごされていたロックの本来あるべき形だったんだ。

レジェンドとして語られるべきは彼が自ら命を断ったことではなく、いつだってその曲であるべきだと俺は信じている。

サーストン・ムーア(ソニック・ユース)
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Tim Mosenfelder/Getty Images
カートはエディ・ヴァン・ヘイレンにキスをしたんだ!

俺たちはニルヴァーナとサンフランシスコのウォーフィールドでライブをした。ギターを繋いだら、最初のコードでカートは客席に飛び込んだんだ。彼はクラウドサーフをしながら曲を弾いていた。客が彼をステージに送り戻したらパッと彼は最初のボーカル・ラインを歌い始めたんだ。「クソ、あんなのに勝てるわけないぜ」と思った。

カートに最後にあったのはロサンゼルスとサンディエゴだった。ニルヴァーナの最後のツアーで俺はその両方のライブに行ったんだ。彼はすごく満足している様子だった。特にロサンゼルスではライブを楽しんでいた。エディ・ヴァン・ヘイレンが来てたからね。面白かったよ。カートがホールを歩いていて「おい、エディ・ヴァン・ヘイレンがおまえの楽屋で人に囲まれてるぞ」って言ったら、カートは「まじかよ!」って本当に興奮していた。カートは楽屋に入ってエディのところに歩いていって彼の口にキスしたんだ。彼は思わずしてしまったんだ。(1994年)

Translated by Takayuki Matsumoto

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