スーパーヒーローの謎を解明、MCUヒストリー10大事件

ソー役のクリス・ヘムズワース(©Marvel Studios)



その6:ドクター・ストレンジ、サイケの世界へ(『ドクター・ストレンジ』2016年)


『ドクター・ストレンジ』のドクター・スティーヴン・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)(Film Frame ©2016 Marvel. All Rights Reserved.)

脳をグイグイ刺激するスティーヴ・ディッコの超次元アートのおかげで、ドクター・ストレンジはいつの時代もカウンターカルチャーのヒーローだった。かの有名な、ジェファーソン・エアプレインの1965年のサンフランシスコのコンサートも題して「ドクター・ストレンジに捧ぐ」。疑り深いドクター・スティーヴン・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)に、エンシェント・ワン(ティルダ・スウィントン)が万物の真理を垣間見せ、幽体離脱させて奇妙な宇宙の旅へ誘うシーンが、ファンの間で「マジカル・ミステリー・ツアー」と呼ばれていたのも納得だ。だがファイギ社長が明らかにしたところでは、スコット・デリクソン監督はこれとは別に、1941年の『ダンボ』に登場するピンクの象の幻覚シーンからもインスピレーションを得たそうだ。


その7:クモ男、ワシントン記念塔に登頂(『スパイダーマン:ホームカミング』2017年)


2017年『スパイダーマン:ホームカミング』のトム・ホーランド(©Sony Pictures)

正直なところ、2017年までスパイダーマンの映画はどれも似たり寄ったりだった。だが、彗星のごとく合われたホームカミングが新たな息吹を吹き込んだ――この垂直救出シーンで、おなじみ壁のぼりの術も新鮮さを取り戻したようだ。スパイダーマンを課外活動に連れ出した、というのがミソ。「スパイダーマンをいままで見たことのない名所に登らせたかったんだ」とファイギ社長。「もうひとつの見どころは、めまい感。(プロデューサーの)エイミー・パスカルが、どうしてもこれを盛り込みたいってこだわってね。スパイダーマンはどこまでも高く登れると思い込んじゃいけないっていうんだ。周りにビルがない有名建造物に彼を立たせるなんて、面白いじゃないか? だって飛び移れる建物がないんだよ。彼は窮地に立たされる――転落しても、行き場がないんだから」


その8:ソー対ハルク(『マイティ・ソー/バトルロイヤル』2017年)


『マイティ・ソー/バトルロイヤル』左から順に:ソー(クリス・ヘムズワース)とハルク(マーク・ラファロ)(Film Frame ©Marvel Studios 2017)

いささか退屈な作品が2本続いた後、マーベルは奇才タイカ・ワイティティ監督に、登場人物を好きなようにさせた。すると監督は、共演者にハルクを選んだ。ニュージーランド出身の監督は、ジャック・カービーが生んだ宇宙観に奇想天外さをピリリと利かせ、サントラにツェッペリンの曲を加えてオマージュを完成させた。ソー(クリス・ヘムズワース)の「彼とは仕事上の友人でね」というセリフで幕を開けるこの対決は、大金星だ。


その9:「これがお前の王か?」(『ブラックパンサー』2018年)


『ブラックパンサー』左から順に:エリック・キルモンガー(マイケル・B・ジョーダン)とティ・チャラことブラックパンサー(チャドウィック・ボーズマン)(Matt Kennedy ©Marvel Studios 2018)

ライアン・クーグラー監督の『ブラックパンサー』は、2つの意味で金字塔を打ち立てた。キャストがほぼ全員黒人にもかかわらず世界的ヒットを飛ばしたこと、そしてアカデミー賞作品賞ノミネーションを勝ち取ったことだ。賞レースに食い込んだこの映画の魅力は、マーベル・ユニバースが生んだ中でも最も複雑な人物の1人、悪役キルモンガー(マイケル・B・ジョーダン)によるところが大きい。ワカンダ王国の王位継承権を持ち、抑圧された人々に代わって復讐を果たそうとする彼に、同情する理由はいくらでもある。クーグラー監督は最初からこの悪役を念頭に思い抱いていたという。「アフリカン・アメリカンであることの意味を探り、アフリカから連れて来られる感覚を感じることがテーマさ」とプロデューサーのネイト・ムーア氏も言う。この対決シーンで、ブラックパンサー(チャドウィック・ボーズマン)はキルモンガーにコテンパンにやられてしまうため、プロデューサーは主役を軟弱にしすぎたのではと心配したほどだ。「その点についてはたくさん議論したよ」とムーア氏。「でもライアンは譲らなかった。彼は正しかったよ。キルモンガーの脅威を感じさせる必要があったんだ」


その10:立ち上がれ、キャプテン・マーベル(『キャプテン・マーベル』2019年)


キャプテン・マーベルを演じるブリー・ラーソン(©Marvel Studios/Disney)

始まりはコミック本の作者、ケリー・スー・デコニックの一言だった。「足が速すぎて転倒する女の子を見たことあるかい?……その瞬間、女の子はみんな空を飛ぶんだよ」。それを出発点に、脚本家兼監督のアンナ・ボーデンとライアン・フレックは重要なシーンを作り上げた。追い詰められたキャロル・ダンヴァース(ブリー・ラーソン)は、地球での人生が失敗ばかりだったと振り返る。そしてその時気づくのだ、失敗する度に立ち上がってきたことを。この発見と、これまで抑制するように言われてきた感情を受け入れることで、彼女は初めて能力をフルに発揮し、頭の先からつま先まで光り輝くのだ。「大事なのは失敗しないことではないの」とボーデン監督。「人間なら、誰だって失敗する。それを乗り越えることが力になるのよ。彼女は力が自分の中にあること、これまで欠点だと教えられてきた自分らしさをすべて受け入れることで得られるのだと気づくの。女性なら絶対共感できると思う。私は共感できるわ」

Translated by Akiko Kato

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