ローリングストーン誌が発売当初に酷評した名アルバム10選

発売当初に酷評してしまった名アルバム10選(Paul Bergen/Redferns)


レッド・ツェッペリン 『Led Zeppelin(レッド・ツェッペリン I)』(1969年)
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レッド・ツェッペリンが新しいブルーズロックバンドとしてヴァニラ・ファッジやアイアン・バタフライらのオープニングアクトを務めていた頃、ローリングストーン誌はデビューアルバムに対する痛烈なレビューを掲載した。バンド側は同レビューに対して、その後長い間に渡り遺恨を抱いていた。

ジョン・メンデルソンによるオリジナル:ブリティッシュ・ブルーズグループのひとつとみなされている最近デビューしたバンドの音楽は、3カ月先を行く双子的な存在であるジェフ・ベック・グループに及ばない。彼らのデビューアルバムは、ジェフ・ベック・グループのアルバム『Truth(トゥルース)』を酷くしたようなもので、注目すべき点といえば好き放題やっている様子や世界の狭さだ。ツェッペリンの中心的存在であるジミー・ペイジは、世間が認めるように卓越した熟練ブルーズギタリストであり、エレクトリックギターの先駆者といえる。残念ながらプロデューサーとしての彼の能力はかなり限定的で、作曲もイマジネーションやインパクトに欠ける。そんな彼のプロデュースと、ほとんどを単独か或いはメンバーとの共作で手がける楽曲が、アルバムを台無しにしてしまっている。

グレッグ・コットによる改訂版:5つ星 ローリングストーン誌(2001年)
正にエネルギーが伝わってくる。英国生まれのカルテットによる1969年の衝撃的なデビューアルバム『Led Zeppelin』のアルバムジャケットには、立派な男性器を思わせる飛行船ヒンデンブルク号が炎に包まれて落下していく様子が描かれている。同ジャケットデザインは、セックス、大惨事、爆発など、アルバムに収録された音楽を上手く表現している。オープニングの「Good Times Bad Times」から、バンドの自信たっぷりな態度が見られる。ジミー・ペイジのギターがスピーカーを通して威嚇し、ジョン・ボーナムの力強いキックドラムがスウィングする。さらにロバート・プラントが男の危機を長々と歌い続けている。ハードロックはいつまでも同じではない。ツェッペリンの作品の中には、通称『Led Zeppelin I』以上により良く、より洗練されたアルバムも存在するかもしれない。しかし、彼らのデビューアルバムは最も粗削りで心地良いサウンドを聴かせ、バンドの意図するものを明確に包括している。

ブラック・サバス 『Black Sabbath(黒い安息日)』(1970年)
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レスター・バングスは史上最も評価の高いロック評論家のひとりだが、そんな彼でさえ、1970年にリリースされたブラック・サバスのデビューアルバムを聴いてもバンドを評価しなかった。

レスター・バングスによるオリジナル:クリーム国家のインダストリアルサイドには、ロックの悪魔儀式などと大々的に宣伝するブラック・サバスのような未熟練労働者による楽曲が多い。ブラック・サバスは、まるでカヴン(魔女集会)に対する英国の回答のようだ。そう悪くはない。しかしながら彼らに下せる評価はその程度で、アルバムは全体的に無価値だ。曖昧な楽曲のタイトルと空虚な歌詞は、まるでヴァニラ・ファッジがアレイスター・クロウリーに下手な詩を捧げているようだが、同アルバムはスピリチュアリズムやオカルトなどとは何の関係もない。ただブラック・サバスのメンバーが本から学んだクリーム的なありふれた表現による不自然な朗唱が、しつこく何度も繰り返される。ヴォーカルは薄っぺらで、アルバム全体を通じて緊張感のないベースラインが続く。さらにリードギターは、最もくたびれたクリーム時代のぎこちないクラプトニズムを垂れ流している。走り出したら止まらないスピード狂のように、お互いの音楽の境界線を踏み越えながらも全く同調しないベースとギターによる耳障りなジャムセッションだ。クリームっぽいが、もっと質が悪い。

スコット・スワードによる改訂版:5つ星『ローリングストーン・アルバムガイド』(2004年)
ブラック・サバスはブルーズロックからブルーズを取り出してワーグナーに置き換え、あらゆる思春期の若者が直に体験するであろうテンションと解放感を含む叙事詩的なリズムのバトルを生み出している。プロデューサーのロジャー・ベインは、ブラック・サバスのサウンドを大音量かつ不健康に仕上げた。彼らのアルバムはヒッピー文化をあっという間に飲み込み、また仮にひとつの脳細胞が砂粒の大きさだったとすると、リリースから1年の間にアルバムを聴いた者から失われた細胞の量は、グランドキャニオンを優に埋めてしまうだろう。わかりやすい悪魔的イメージとハロウィーンの雰囲気を持つブラック・サバスについて忘れられがちなのは、彼らは史上最も神に身を委ね、生真面目で空気を読まないロックバンドのひとつだということ。“人間は邪悪であり、不道徳な行為を悔いるべき”という彼らの論理は、メタリックアートにおける未来の全ての吟遊詩人に影響を与えるだろう。

Translated by Smokva Tokyo

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