ギターを愛する俳優・塚本高史が語る、本業とプライベートの両立

次第に芝居へとのめり込んでいく塚本。惰性で通っていた高校を辞め、普通の金銭感覚を掴むためにバイトを始めた。

「よく道端で測量している人いるじゃないですか。“墨出し工”というんですけど、あれをやっていました。日当8000円で、1年くらい働いたのかな。そこでの経験は、自分の中に今も生きていますね。どれだけ身一つで頑張っても1日8000円なです。そういう金銭感覚を身につけられたのは良かったと思っています」

そんな塚本が、芝居と同じくらい夢中になっているのがバンド活動だ。彼のInstagramを観ると、まるでキッズのように目を輝かせながらギターを弾きまくっている動画をいくつも目にする。

「音楽に目覚めたキッカケは、今は亡きhideさんでした。2つ上の従姉妹が当時、彼のシングル“DICE”を聴かせてくれたときに衝撃が走ったんですよ。それまで自分が聴いてきた歌謡曲とは、全く次元の違うサウンド。調べてみたら、彼はX JAPANというバンドに所属しているギタリストで、ファッション・センスから何からとにかくカッコよくて。とにかくhideみたいになりたい、ギターが弾けるようになりたいと思っていたら、父が13歳の誕生日に買ってくれたんです。今考えると5万円くらいのスターターキットだったんですけど、とにかくうれしくて毎日弾いていましたね」

まずはコードの押さえ方を覚え、当時好きだったGLAYやL’Arc-en-Cielの楽曲を、片っ端からコピーしていった。プロフィールにも“特技はギター”と書けるくらい上手くなりたくて、既に所属していた事務所に相談したところ、“それならちゃんと先生を付けて、マンツーマンで教えてもらおう”という話になった。


Photo = Shuya Nakano

「あのよっちゃん(野村義男)から、個人レッスンを受けていたんです。今考えると贅沢な話ですよね。さらに、今の妻からもいろんな音楽を教えてもらいました。ザ・フーやセックス・ピストルズ、ポーグス……俺より遥かに詳しいんですよ」

中でも、レッド・ホット・チリ・ペッパーズとの出会いは大きかった。“ミクスチャーの先駆者”と言われる彼らのサウンドは、塚本の音楽活動にも大きな影響を与えている。

「今やっているバンドはミクスチャー系ですね。役者としての仕事でも、例えば『ロッカーズ』(陣内孝則監督作)でバンドを組んだり、以前、六本木ヒルズで開催されたローリング・ストーンズのDVD発売記念イベントか何かで、鮎川誠さんと“サティスファクション”を演奏したり、音楽にちなんだものが増えていきました」

プライベートでの交流も、役者よりミュージシャンのほうが圧倒的に多いという塚本。役者どうし、「演技論」を戦わせているような飲みの席が苦手なのだとか。

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