ギターを愛する俳優・塚本高史が語る、本業とプライベートの両立

Rolling Stone Japan vol.06掲載/Coffee & Cigarettes 12 | 塚本高史(Photo = Shuya Nakano)

音楽、文芸、映画。長年にわたって芸術の分野で表現し続ける者たち。本業も趣味も自分流のスタイルで楽しむ、そんな彼らの「大人のこだわり」にフォーカスしたRolling Stone Japanの連載。12回目を迎えた今回は、ギターを愛する俳優、塚本高史。彼の人生で音楽は切っても切り離せないものだ。「プライベートのときまで演技の話はしたくないし、それよりミュージシャンの友達と音楽の話をしているほうが楽しい」と語る、彼のこだわりとは?

Coffee & Cigarettes 12 | 塚本高史

深作欣二に見初められ、映画『バトル・ロワイアル』で一躍注目を浴びた俳優、塚本高史。以降も『木更津キャッツアイ』でのコミカルな演技や、『アウトレイジ』でのポン引き役など、幅広い演技で日本映画を沸かせてきた。しかし子どもの頃の彼は、芝居にも芸能にも実は全く興味がなかったという。

「ずっとサッカー少年だったんです。カズに憧れて、中学を卒業したらブラジルに留学することまで考えていました。ところが母親が、今の事務所が主催していたオーディションに写真を送ってしまって。まあ俺は俺で、“目立てるならいいかな”と思っちゃったんですよね。しかも“どうせ受かるだろうな”という変な自信までありました(笑)」

実際、審査はトントン拍子で進んでいき、気づけば最初の出演作『職員室』も決まっていた。塚本が15歳のときである。

「その頃は、役者の仕事が嫌で仕方なかったですね。中学生といえば、周りの同級生たちは夏休みやら春休みやら、遊びまくる年頃じゃないですか。なのに俺は、毎日レッスンやドラマの撮影に明け暮れている。しかも“もう社会人なんだから”みたいな扱いをされるわけですよ。望んでこうなったわけじゃないのに……といつも思っていました」


Photo = Shuya Nakano

そんな矢先に決まったのが、映画『バトル・ロワイアル』への出演だった。それまではどこか、中途半端な気持ちのまま現場に臨んでいた塚本は、“深作組”の志の高さに大きな衝撃を受けたという。

「監督から言われたのは、“カメラが回っていなくても、ちゃんと演技をし続けろ”ということでした。それまでの俺は、“どうせ映ってないなら、演技したって意味ないじゃん”なんて思っていたんですけど、“それだと映っているやつらが芝居できないだろう?”って。実際、映る予定がなくても呼び出され、全力で演技をさせられていたんです。そういう、見えない細部にまで徹底的にこだわる姿勢を、深作監督に叩き込まれましたね」

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE