佐藤隆太が語る俳優人生「ネガティブで神経質だからこそ音楽に救われた」

Rolling Stone Japan vol.06掲載/Coffee & Cigarettes 11 | 佐藤隆太(Photo = Kentaro Kambe)


舞台をライブに喩えるくらい、音楽好きとしても知られる佐藤。ウルフルズと双璧をなすフェイヴァリット・バンドはKEMURIだという。彼らの掲げるスローガン「PMA(ポジティヴ・メンタル・アティチュード)」には、何度も救われた。

「僕は割と明るい人間だと思われがちなんですけど、実はけっこうネガティヴなところもあって。ウルフルズやKEMURIの楽曲は、自分の理想像でもあるんですよね。憧れというか。もちろん彼らもただただ明るいだけではなくて、もがき苦しみながら自分を奮い立たせているその“男臭さ”がいいんです。男の弱さと強さ、両方を歌っているところが人間臭くて好きなんです」

ブルーハーツに衝撃を受け、その後はパンク一筋(「ウルフルズは別枠」とのこと)。Hi-STANDARDやBRAHMAN、SNAIL RAMPに夢中だった「エアジャム世代」だ。

「KEMURIのコピー・バンドを結成して、とあるイベントではACIDMANの後に演奏したこともあります。今考えるとゾッとしますね(笑)。芝居がうまくいかないとき、落ち込んだときは、本当に音楽に助けられてきました。例えば、芝居のことですごく悩んでいた時期にタイミング良くKEMURIの4曲入りのマキシ『葉月の海』がリリースされたんですけど、その中の“PART TO PLAY”という曲に“Everybody has a part in this world(誰しもこの世界に役割があるんだ)”というラインがあって。もう、自分の気持ちにドンピシャで。号泣(笑)。やっぱり音楽に支えられている部分が大きいんですよね」


Photo = Kentaro Kambe

そんな佐藤には、仕事に取り掛かるまでに自分なりのルーティンがあるという。

「スロースターターというか、自分のペースを掴むまでに割と時間がかかるんです。例えば、新しい劇場で芝居するときは、その空間を自分なりに把握しないと落ち着かない。舞台から楽屋までの動線を調べ、どこにトイレがあって、どこに喫煙所があるかを確認します。これから毎日そこへ通って同じ舞台を繰り返すわけだから、何時までに行って声出しをやって、みたいなリズムを作っておく。そうやって“自分の場所”にチューニングしているんでしょうね。タバコを一服吸って気分転換したり、気持ちを落ち着けるのも重要な“儀式”です。子どもがいるので、最近はもっぱら加熱式タバコを吸ってますけどね」

そう言って微笑む顔は、優しい父親の顔だった。2019年初夏に公開される映画『今日も嫌がらせ弁当』では、シングルファザーの役を演じているが、家族を持ったことで演技にも影響はあったのだろうか。
「子どもの扱い方が変わりましたね。自分に子どもがいないときは、どこかおそるおそるというか。父親の役をやっていても、どこか距離を置いてしまっていたかもしれません。子どもが生まれてからは、ひょいと抱き上げ肩に乗せるなんてことも、気軽に出来るようになった。そういう一瞬の所作にもリアリティは出るので、子どもと日常的に触れ合うようになったことは、少なからず演技にも影響しているでしょうね」

来年はいよいよ40代に突入する佐藤隆太。役者として、今後ますます深みを増していくであろう彼に今後の抱負を聞いた。

「仕事をいただかなければ出来ないのが役者ですから、声がかかればなるべく応えられるようにしたいですね。映画、舞台、ドラマ……もともと縛られていなかったけど、今後もその姿勢は貫き通したい。迷ったときほど“よし、行っちゃえ!”みたいな(笑)。新しい場所にも、怯むことなく飛び込んでいける自分でありたいですね。根は神経質だからこそ(笑)、 “ケ・セラ・セラ”な人生を歩んでいきたいです」


佐藤隆太
1999年、舞台『BOYS TIME』で俳優としてデビュー。2005年、『絶対恐怖 Booth ブース』の勝又真吾役で映画初主演を務める。『海猿 UMIZARU EVOLUTION』の吉岡哲也役で、主人公の相棒(バディ)を演じ、それ以降の『海猿』シリーズでも吉岡哲也役を担当。以降、多岐にわたる分野で活躍している。映画『今日も嫌がらせ弁当』は2019年6月28日公開。




ロケ地協力:super eight

Photo = Kentaro Kambe
Styling = norihito katsumi (Koa Hole inc.)
Hair and Make-up = Tatsuya Nishioka

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