メジャーレーベル上層部における男女格差と、見えてきた解消の兆し

想像がつくだろうが、これらの格差を生んでいる最大の要因は、各社における重役の男女比だ。Gender Pay Gapは収入の階層を4つに区分した上で、各階層における各社の男女比率を公表している。トップの階層に着眼すると、ユニバーサルでは男性が73パーセントを占めており、ワーナーでは70パーセント、ソニーでは60パーセントが男性となっている。

2017年と比較すると、3社とも男女間の平均収入格差はわずかに縮小している。それでも、「不条理な格差」に対して声を上げた人々がいたことは当然だといえる。

ユニバーサル、ソニー、ワーナーはそれぞれ、男女間の収入格差解消にむけて積極的に取り組んでいくと発表しており、今後はより多くの女性を重役に迎えるとしている。

ユニバーサル・ミュージック U.K.の人事部でシニア・ディレクターを務めるモルナ・クックは、男女間で収入に差が見られることを率直に認めている。「(当社の)男女間における収入格差は、女性重役の少なさが大きな原因となっています。我々はこの点の改善に取り組んでいきます」同社の年次報告書で、彼女はそうコメントしている。「当社にはすでに数多くの女性重役がいますが、その数をより増やせるよう、未来のリーダーとなりうる優秀な人材の育成に取り組んで参ります」

メジャーレーベルのトップにおける男女比率には、今なお残る業界の旧体制が大きく関係している。レーベルのトップを務める人間の多くは、業界用語でA&Rと呼ばれる人材発掘および育成を担当する役職上がりだ。あくまで通説だが、この役職はあらゆるレベルにおいて男性に牛耳られており、マーケティングやプロモーション、ブランドパートナーシップといったレコード会社における他の主要部門と比較しても、女性の数が極端に少ないとされている。

ユニバーサルのクック女史はこう語る。「統計における数値には、シニアA&Rに支払われたボーナスが反映されています。これまで音楽業界において、その役職は伝統的に男性が多数となっていました。主なレーベルにおけるA&R部門の男女比率を50:50にすべく、現在我々は積極的に女性A&Rを雇用しています」
 

Translated by Akiko Kato

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